伊坂幸太郎さんで殺し屋シリーズで、面白くないわけがない!(笑
というわけで、今回も楽しませていただきました。
面白くてサクサクと読み進めちゃいましたよ。
感想
『マリアビートル』でもご活躍された天道虫こと七尾くん(ハリウッド版はブラピ)
今回も、彼の不運で幸運な巡り合わせがフルに活用されています。
最後の最後のどんでん返しまで物語が読めないところはもちろん
これだけ殺し屋さんよろしく人が死んでいるのに、最後はどこか琴線に触れるように心が温まるような締めくくりがされているのも
伊坂さんの物語を楽しむ醍醐味だなあと思います(と、語れるほどにはまだまだ伊坂さんの本を読破できていないのですが)
今回は、個人的にソーダ(奏田)とコーラ(高良)のコンビがお気の毒な感じで(なんだか好きだった)
そこは『マリア・ビートル」の蜜柑と檸檬のおふたりを彷彿とさせます。
そんなソーダ・コーラの心温まる(?)エピソードが、最終的に七尾くんと紙野さんを救います。
「梅の木が、隣のリンゴの木を気にしてどうするんだよ」と答えたのだという。「梅は梅になればいい。リンゴはリンゴになればいい。バラの花と比べてどうする」
(P176)
七尾が不意に、「さっきのあの話、どう思った?」と訊ねた。
(中略)
「ああ」紙野結花は自分の表情が和らぐのが分かった。人並み外れた記憶力のせいで、人生がうまくいかないため、他人を羨むことはもちろんあった。どうしてわたしばかり、と悩んだり、せめてもう少し、外見が良ければたくさんの人に救ってもらえたのでは、と想像もした。「他人と比べた時点で、不幸は始まりますね」と答えている。
(引用ページをメモし忘れました(汗)すみません……)
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たまたま偶然に巻き込まれて出会った七尾くんと紙野さんですが、それぞれ背景は違えど、なんだか不遇な人生を歩んでいるところはどこか似ている二人でもあります。
そういう二人だからこそ、奏田さんのあの話は(語ったのは高良さんですが…←ややこしい)響いたのだろうなと思います。
外見やらいろんなものに恵まれているスイスイ組(マクラ・モウフ談)の5人組とは対照的ですよね。
だからといって七尾くんや紙野さんの生きづらさのようなものがなくなるわけではないんです。
七尾くんはきっとこれからもツイてないだろうし
紙野さんの人並み外れた記憶力は、辛い記憶もずっと保持し続けることにもなる。
まあそれでも七尾くんには真莉亜さんという相棒がいるし
紙野さんも最後はなんだか良い感じになりましたし
「まあ、このリンゴの木も悪くないよね」と思えるなら、それはけっこう良いのではないでしょうか。
と、なんだか良い話にまとめたところで(笑)、感想はこの辺にしておこうと思います。
伊坂幸太郎さんの本は、まるで漫画を読んでいるかのように面白いです。
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