精神科医の故斎藤茂太先生の本です。
以前岡山旅行の記事を書いているときに、こちらの本を引用しました。
久しぶりに手にとってパラパラと眺めていたら「読み返してみよう」と思い立ちました。
本の題名にふさわしく、ゆっくりと味わうように読みました。
ゆっくり力
この本のテーマは「ゆっくり力」です。
ガンジーの「善きことは、カタツムリの速度で動く」の言葉にあるように、「ゆっくり」を推進する本です。
急いではいけない。早く結果が出ることばかり望んではいけない。ゆっくり、ゆっくりでも力が集まり、努力が積み重ねられれば、それは必ず大きな力となってよい結果を生みだす。これは、人がなにか身につけよう、なにかを成し遂げようとするとき、もっとも重要なアドバイスではないか。自分自身に対しても、周りの人やあるいはわが子に対しても常に語りかけてあげなければならない言葉。
P19 第1章「カタツムリの速度で進もう」
ここでいう「ゆっくり力」とは、ダラダラと時間をかけることではありません。
早く早くと急かすのではなくて、最初はゆっくり取り組む。そのうちに慣れてきたら手際が良くなる。手際が良くなったら、その分早く仕事が終わる。そうしたら、その時間はまたゆっくりと過ごす。日々のことにゆっくり丁寧に取り組めば、それだけ質の良い豊かな時間が過ごせるようになる。それはそのまま生き方に繋がってくる。
モタ先生の本を買ったのは、ずいぶん昔のことなんですが、たぶんわたしは昔からそういうことに関心があったのだと思います。
モタ先生の奥様のように、生来の天然なのんびり屋さんは良いのですが、わたしはもともとはゆっくりタイプなんだけど、周りのノイズも拾っちゃう人なので「自分はゆっくりやりたいけど、周りのペースに合わせないとダメだ。早く手際良くたくさんこなさないといけない」と思っていて、でもどこかで「それって自分には違うよなあ」とも思っていた人でした。だから昔からこの手の本をよく選んでいたのでしょう。
もう10年くらい前から思っているテーマなのに、ぐるぐる回ってまた巡り合っちゃうのです。
なんども巡り合って、また気づくから、やっぱりこれはわたしのテーマなんだろうなあ。
先日の「深イイ話」という番組で、バイオリニストの千住真理子さんの生活ぶりが特集されていました。
すごいです。わたしの人生の10倍速くらい(もっと?)で生きておられる方でした。
たぶん「ゆっくり力」は誰にでも当てはまるものではないと思います。
”わたしの場合”は「うん、そうそう。これ」と思えるけど、そうでない人もいます。
それでいいんだと思います。
意識的に「ゆっくり」を実践してみた
最近、「ゆっくりやる」を意識するようになりました。
例えば、日常のちょっとした動作。仕事に取り掛かるときの入り方。日々の時間の使い方。
その時間を丁寧に、大切に取り組むことがちょっと増えました。
そういうときのわたしは、気持ちが穏やかで余裕があります。周りにも、ちょっと視点が優しくなります。
モタ先生も、「ゆっくり生きる」メリットを取り上げています。
- 自分らしさを取り戻せる結果よりも、
- そこに至る過程を楽しめるようになる
- 生きることの深い味わいを感じ取れるようになる
P173 第4章「ゆっくり三昧のすすめ」
わたしは早くたくさんいろんなことをこなすよりも、ゆっくり深く味わうことのほうが、合っているんだろうなと思います。
「ゆっくり力」で仕事のペースは落ちた?
今年は仕事量を減らしているので、単純な比較はできないのですが、「ゆっくり」を意識的に実践しても、仕事のペース自体は落ちていないです。
ドラマ「わたし、定時で帰ります」を見ていて、やっぱり定時で帰るためには効率的に仕事をこなすことも大事だねと考えて、業務をタスク管理したり、メリハリを持ちながらやるようになりました。
慌ててあたふたとすることはやめて、次の業務に移るときは机の整理などを「ゆっくり」やるようにしたり、仕事の仕事の合間には休憩を挟んでその時間は「ゆっくり」するように心がけるようになりました。
以前は、ダラダラと惰性で過ごしながらやっていたところが改善されて、それでいて業務はメリハリがつき、ついでに定時で帰っています。(定時で帰るのは前からなんだけど)
いまは、自分にとって業務の適正量はどれくらいか、模索中です。
モタ先生の本にも、仕事をする上での「ゆっくり力」については細かに書かれているので、参考になりますよ。
結び
忙しくて気持ちが急いて、ざわざわしたときに、日常のこころのペースを戻すのに「意識的にゆっくりする」は大事なキーワードだなと思います。
わたしのなかの「ゆっくり」のお手本は、茶道や能です。
ゆっくりとした動作は、無駄がなく、それでいて美しいのです。
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