Tシャツを通して色々考えてみる。「村上T 僕の愛したTシャツたち」村上春樹

村上春樹さんが熱心なレコード収集愛好家なのは知っていましたが、まさかTシャツコレクターでもあったなんて。

本書はそんな村上春樹さんのTシャツコレクション(の一部)を、春樹さんの軽快な文章とともに紹介する本です。

『ポパイ』という雑誌で連載されていたものが1冊にまとまりました。

 

ちなみに表紙のTシャツも、コレクションのひとつ。

 

感想

読み始めて数分で、肩の力がスーッと抜けていくのがわかりました。

これは、春樹さんの読み物では「軽いほう」の本です。

 

勝手な春樹さんの本を分類してみる。

「重いほう」…数冊単位の超長編。

例:騎士団長殺し

 

「やや重い」1冊くらいの長編

例:多崎つくると巡礼の年

 

「中間(重くもあり軽くもある)」…短編小説

例:レキシントンの幽霊

最近春樹さんの短編を読んでないなあ。新作は図書館で予約済みです。

 

「やや軽い」…割としっかりとした文章のエッセイ

例:雨天炎天

 

「軽い」…気楽に読めるエッセイ

例:村上ラヂオ

 

他の作家さんではあんまりこういう分類を意識しないんだけど、なぜか春樹さんは読む本によって重みを読み分けています。

別に軽いから読むのが楽とかそういうわけではないんですが、やっぱり2冊3冊と続く長編は、腰を据えて深く潜っていかないと読めない感覚です。

どっちが良いというわけではなく、どっちも好き。

 

そして、これを書きながら、自分が漠然とそういう分類で読み分けていることにも気づきました。

アウトプットって大切ですね。

 

そういうわけで、本書はわたし的に春樹さんの「軽いほう」の読み物です。

 

頭と心を柔らかく

個人的に村上春樹さんの文章は、とても読みやすい。

こういう何気ないエッセイでも、その読みやすさは冴え渡ります。

 

1篇ずつも短いので、肩の力を抜いて頭もあんまり使わずに気分転換に読みたいときに最適です。

あと、わたしは春樹さんの柔らかい文章を読むと、自分がコリコリに固まっていたことに気づきます。

基本的に堅い人間なので、たまにこういう柔らかい本を読んで、凝り固まったものをほぐすのって大事だなと思いました。

頭の柔軟体操みたいな本だ。うん。

 

Tシャツについてのお話なんて正直村上春樹さんじゃなければTシャツにまったく興味のないわたしは読まないだろうけれど、春樹さんだと読めるから不思議です。

お酒も全く飲まないから、ウイスキーにも興味がないけれど、ウイスキーのエッセイも楽しく読みました。

 

そういう柔らかさっていいよね。

なので、Tシャツにも村上春樹さんの小説にも興味がなくても(もちろんどちらかあるいは両方に興味のある人も)、ちょっと息抜きにパラパラと読むのに最適です。

 

Tシャツについての小話(走ることとTシャツについて)

ここを読んでいる人が、ましてわたしのTシャツ観に興味があるとはとても思えないけれど

ついでなので、本書を読んで想起された自分のTシャツについての考えを書いておきます。

 

まず、わたしは今ではTシャツをほとんど着ません。(前提から崩れてる)

なので自分の持ち物のなかに、いまはTシャツはほとんどない。

 

たんすの中にかろうじて残っているTシャツっぽいTシャツは1枚だけ。運動用です。

ランニングするときは、Tシャツを使っている。

(それもコロナでマスクをしないで外出が憚れて、今年に入って全然できていないけど)

 

過去に数回だけ、マラソン大会に出たことがあります。

わたしは10kmがちょうど良いので10kmです。

本書にも書いてあるけれど、マラソン大会に出ると、よく参加賞でTシャツをくれます。

そしてもらったTシャツは、日常走るときに使うのにちょうど良いのです。

あ、今使っているのはユニクロのTシャツだけどね(また前提から崩すことを……)

 

ひとりで黙々と走ることは嫌いじゃないので、いつかマラソン大会にまた出たいなあと思いながら、気がつくとけっこうな月日が流れてしまいました。

日々のことに忙しいのもあるけれど、おそらく自分のなかで優先順位がそれほど高くないのもあったのでしょう。

 

でも、ほんの数回だけれど、みんなで一斉によーいどんと走って、とにかく1時間くらい黙々と走り続けて、終わったら達成感もあるのって、なかなかに良い体験でした。

びっくりするくらいこころがワクワクと踊る体験でした。

 

だから、実はまだ諦めずにいつかまた10kmでマラソン大会に参加したいなと思い続けています。

コロナでいまは特にむずかしいけれど、まあコロナが落ち着いてから。

 

でもね、密かに悩みがあるのです。

わたしが昔参加したころに比べて、ランニングウェアも随分とシャレオツになったではないですか。

いまのマラソン大会って、Tシャツで走っている人ってどれくらいいるんだろう……

 

当時Tシャツとジャージで参加していた身としては、そんなお洒落ウェアーには興味がなく。

(わたしは普段着同様ランニングにもオシャレは求めていないのだ)

むしろそのお金はシューズに当てたい。シューズは新調したい。

 

でもウェアにはそんなにお金はかけなくていい。たかが10kmだし。

それだったら大会に行った先でおいしいものでも食べるのに使いたい。(花より団子派)

 

というわけで、マラソン大会参加へのハードルが変なところで上がってしまうのでした。

 

結び

なんかTシャツではなくマラソンの話になってしまいました。

でもまあ、そんな風にTシャツってとっても身近な服なので、10人いたら10通りのTシャツ話が転がっているのではないでしょうか。

そんなことを考えると、ワクワクしますね。

 

関連情報

この記事で紹介したいろいろな本を最後にまとめて載せておきます。

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