HSP関連本がここ1〜2年でたくさん出版されるようになって、今年はその中から特に長沼先生や明橋先生の本を中心に取り上げてきたのだけれど(特に長沼先生は次々と出されている)、正直「もういいかなあ」と最近は思うようになってきました。
たぶんあと2〜3冊読んでから、一旦この流れは終わろうと思います。
わたしとHSPの出会いはもう3年目なので、違うフェーズに移ってきているんだろうなあ。
HSPと”不安”に特化した1冊
長沼先生のHSP本は毎回テーマがあって、それに焦点化しつつもHSPのことを網羅した内容になっています。
なので、長沼HSP本でどれを読もうか悩んだら、タイトルのキーワードにピンと来るものを選べば良いと思います。
(個人的には、いちばん最初に出版された「敏感すぎる自分を好きになれる本」がスタンダードで導入としてはこちらがおすすめ)
今回は”不安”がテーマです。
ひといちばい敏感なHSPさんは、ひといちばい不安になりやすい人たちでもあります。
かくいうわたしも、ひといちばい不安の高い人です。
3つのステップで人生を変えよう。
本書で特に良かったのは、「3つのステップ」です。
これは長沼先生が多くのHSPを診察し、相談を受けるなかで導き出した考え方だそうです。
それは「知識」「心構え」「行動」の3つです。
STEP1:知る
HSPについての知識はもちろん、自分はどういう感覚が優位なのか、体の調子はどうか、精神状態はどうなのか、どんなのが大丈夫でどんなのが苦手なのか、自分自身についてよく知ることです。
自分のことについて、わかっているようで、実はわかっていないことってたくさんあります。
自分を知るというのは、けっこうむずかしいことでもあります。
でも、そうやって自分に意識を向けて、自分はどういうことが苦手でどういう反応になるのか、逆にこういうことは好きで気持ちが落ち着くのかとか、改めて知っていくことって、生き方を変えていくのには大切なことです。
STEP2:心構えをもつ
HSPの特性を把握したら、今度はそれを受け容れてあげる。あるがままの自分を否定せずに受け容れるのです。そうして、「こういう自分でやっていくんだ」と覚悟を決める。
「その心構えが、これからのあなたの人生をつくっていきます(P151)」と、長沼先生は言います。
腹をくくるということですね。
でもね、これって言うは易し行うは難しなんだよ。
最初から自己肯定感の高い人は、このステップはそこまで苦労しないかもしれない。
でも、自己否定感の強い人は、このステップけっこう苦労するのではないかと思います。
なぜなら、これはステップ1の「知る」よりも、頭でわかっていても思うようにいかない要素を孕んでいるからです。長沼先生もこのステップは”心”と表現しています。
わたしは、たぶんいまここです。ここからステップ3へ移行する手前くらいです。
STEP3:行動する
頭(知識)と心(心構え)の準備が整ったら、いよいよ生き方を変える行動をしていきます。
つまり、”わたし”というもの(例えばHSP気質)は変わらないけど、”わたしの生き方”は変えることができるのです。
場合によっては、人間関係やこれまで自分にとって大切だと思っていたものを、捨て去る覚悟も必要かもしれません。
ここで大事になってくるのは、”自分軸”をしっかりと持つこと。
“他人軸”と”自分軸”を分けることです。
わたしたちは、自分が望むものを引き寄せる。(”引き寄せの法則”と呼ばれます)
だから、自分がどう生きたいかをしっかりと思い描いて望むこと、行動に移すことで、それが実現する方向へ引き寄せることもできる。
3つのステップの注意点
P150で長沼先生は「これらは心理療法でも使われている基本的な考え方でもあります」と書かれています。
個人的には、特にステップ2の心(心構え)、そしてステップ3の行動するは、特にむずかしいと思う。
というのも、心はそんなに簡単に変わるものではないし、行動に起こそうとすると、揺り戻しが起こるからです。当然です。だって、長年慣れ親しんできたパターンは、ある意味ではその人を守ってきたものでもあるからです。
だから、どうにもこうにも、このステップをするのがむずかしいと思うときには
サイコセラピー(心理療法、カウンセリング)が、有用かもしれません。
というのも、これは心理療法ではHSPに関わらず割と当たり前にやっていることだからです。
本書では、心理療法以外にも身近に実践できる方法もいくつか紹介されています。
人によってどんな方法が当てはまるかは、その人次第ではありますが。(特に、心理療法はお金と時間がかかる。でも、それくらい変わるというのは大変なことだとも言える)
いまの自分はSTEP2かな
最初に戻って、「もうこの手の本を読み漁るのはいいかなあ」と思ったのは、もうわたしは「知る」ステップはけっこうやってきたからだと気づきました。
まあ、HSP関連本を今年いろいろ当たっていたのは、自分について知るというよりも、ブログの記事に書くためで、何度も書いているように長沼先生の「敏感すぎる自分を好きになる方法」を読んで、もう自分のなかではけっこうその辺は完結してしまっていたのですが。(あ、でもイルセ本はけっこう好きです)
ここでの知るは、「HSPについて知る」よりは、「HSPを通しながら自分の特性について知る」です。
HSPを知るまではそういう軸がなかったので、「どうしてわたしは他のみんなと同じようにできないんだろう」と、できないことにばかり目を向けて、それを克服しようと違う方向の努力をして(でも当然できなくて)ますます自己嫌悪に陥るループを繰り返していたからです。
でも、知ったからといって長年の癖はそうそう抜けなくて、特に自分のなかにはびこる「こういう自分はダメだ」という自己否定感は何度も何度も見つめ直す作業をしてきました。
いまも、時々出てきます。特にしんどいときにはそういうパターンが現れやすい。
HSPを知ってもうすぐ3年が経とうとするんだけど、やっと最近「行動する」がちょこっとずつ芽を出してきました。
またそのことについて、まとめてみたいと思います。
結び
個人的に、今回の長沼先生の3つのステップはとてもわかりやすくて良いなと思いました。
いま自分はどこかな? と考えるのは、自分のこれからを考える目安になるかもしれません。
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