「印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション」展 - -兵庫県立美術館

ルノワールのポスターが映える兵庫県立美術館の特別展です。

わたしはモネやルノワールなどの印象派の作品が特に好き。

これはもう是が非でも行かなくてはと思いました。

 

吉野石膏コレクションって?

石膏ボードを中心とした建築資材会社「吉野石膏株式会社」が、社内の創造的環境づくりを目的に集められたコレクション。

創業の地である山形県の山形美術館へ作品を寄託されているそうです。

 

今回はそのうちフランス近代絵画の作品がはるばる山形の地から出張されてきました。

 

 

ちょっとしたハプニング

今回の特別展は兵庫県立美術館で開催されています。

が、神戸市立美術館と勘違いしていました

三宮について「さーて、どっちだったかなあ」と検索したら、徒歩45分と表示されて「へ!?」と初めて気がつく。ポスターにもちゃんと兵庫県立美術館と書いてあるじゃないか。

ああ、しまった。帰りに三宮のハーブスに寄る計画が潰れてしまった。(メロンメロンケーキが!)

 

いや、まあケーキは今回のメインではなかったので良いのですが。(メロンメロンケーキはお預け)

というわけで、王子公園駅まで引き返して、てくてくと20分歩いてやっと到着しました。

 

兵庫県立美術館は、

阪急王子公園駅から徒歩20分

JR灘駅から徒歩10分

阪神岩屋駅から徒歩8分です。

選べるのなら、阪神電鉄が近いです!

 

 

無事に到着できました。

兵庫県立美術館は、今回はじめて来ました。

近代建築で、建物自体もとっても面白い。天井が高くて構造もアーティスティックです。

神戸市立美術館はこれまでもよく行っていましたが、あちらはクラシカルな西洋建築です。

どっちもそれぞれに好きだなあ。

 

 

いざ、展覧会へ

 

ルノワールの看板が案内してくれます。

会場は3階にあります。コインロッカーは1階です(この看板はコインロッカーのすぐそば)

会場までは、エレベーターもあります。階段で登るのも景観がけっこう楽しかったです。

 

会場は3部仕立てになっていました。

 

第1章 印象派、誕生〜革新へと向かう絵画〜

はじめに印象派の作品がずらっと登場します。

コローからはじまり、ミレー、クールぺ、マネ。

モネの作品は5点、シスレー6点、ルノワール7点、ピサロ6点と、印象派を代表とする画家の作品が一堂に介しています。

なんとも贅沢な空間。

 

モネの「睡蓮」もありました。1906年の正方形に近い作品です。

4月に大原美術館でもモネの「睡蓮」を見たけど、睡蓮はやっぱり特別感があります。

 

エドガー・ドガの「踊り子たち(ピンクと緑)」が印象的でした。

ドガの作品を、ちゃんと見るのははじめて? だったのですが、この作品、読売新聞が毎月くれるミニポスター(要申し込み)で見たことがあったのですが、実物を見るとポスターと印象が全然違いました。

筋肉質というか、骨太というか。そこにあるのはバレエの優美さの舞台裏ではないものが描かれているんだなと思いました。ドガの作品は、原田マハさんの「ジヴェルニーの食卓で」で初めて知ったのですが、その背景を知ったからか、いや、それだけじゃないかもしれない。実物の衝撃がすごかった。好きというのではないんだけど、迫力というか、別次元で引き込まれました。

 

 

わたしは印象派の作品は好きだなあと前から思っていたのですが、こんなに印象派の作品ばかりたくさん見られる機会ってこれまでなかったので、最初のところでもう息切れ。

というか、ここ最近の疲労とか全部ひっくるめて絵画を味わう気力が十分でないというか。

途中でふらふらとしてしまいました。

 

もっと元気があったら、思う存分楽しめるのになあと残念がる気持ちと、まだあと3分の2あるのにという気持ちと。常設の美術展ではないから、また今度来ようともなりません。(山形まで行くというのもありかもしれないけど)

 

 

第2章 フォーヴから抽象へ〜モダン・アートの諸相〜

少し休憩してから(=椅子に座ってぐったりする)、ひとまず次のコーナーへ足を運びました。

 

印象派からモダン・アートの世界へ入ります。

わたしは、印象派の作品はじーっと見入ってしまって動けなくなるのですが(1点1点にかける集中力が高くなる)、モダン・アートはそこまで過集中しないので、それが良かったみたいです。

ルオーの不思議な顔立ちのタッチにクスッと笑い、マティスの色彩に癒され(何気ないのに、マティスの色彩はなんであんなに絶妙なんだろう)、そしてヴラマンクの作品でめちゃくちゃ元気をもらいました。

 

いや、すみません。

モーリス・ド・ヴラマンクという画家さんをわたしは存じ上げなかったのですが。

ものすごく力強いタッチと、目に鮮やかな色が、バーン! とやって来て、印象派がちょっと物憂げなら、こちらはそれを吹き飛ばす威力があるというか。とりあえず見ていてなんか元気出た。

ヴラマンクの作品で「村はずれの橋」という絵があったのですが、こちらがセザンヌの風景画にタッチを真似ておられるんですね。でも、模倣されているんだけど、それでいながら隠しきれないヴラマンクの個性がにじみ出ていて、めちゃくちゃ面白かったです。

 

セザンヌの風景画「マルセイユ湾、レスタック近郊のサンタンリ村を望む」を見に、思わず引き返しちゃいました。

 

個人的な好みなら断然セザンヌのほうなんだけど、めちゃくちゃエネルギーの落ちたしんどい状態でパワーをもらってしまって、ヴラマンクさんの名前も忘れないでおこうと思いました。(なんとも覚えにくい名前なんだけど)

 

3章 エコール・ド・パリ〜前衛と伝統のはざまで〜

最後のコーナーは、さらに前衛と呼ばれる作品が登場します。

ローランサンの作品にうっとりしたりとかもあったのですが、なによりも圧巻だったのがシャガールです。なんと、この展覧会の全72点のうち、10点がシャガール。いちばん多い。

 

わたしはシャガールの作品を見たことがあったかな? 覚えていないのですが、こんなに一度にたくさんのシャガールに出会ったのは初めてです。

最後はたくさんのシャガールに囲まれて幕を閉じます。

 

なんとも贅沢な時間でした。

 

今日のお気に入り「モンフーコーの冬の池、雪の効果」カミーユ・ピサロ

で、最終的にまた入り口まで引き返して、一から順に見て回りました。

わたしは美術展に行くと、必ずといっていいほど「今日のとっておきの一点」を探すのですが、今回はどれだろうというのを確かめる意味合いもあります。

個人的に印象に残ったり元気をもらったり、ほんとうにいろいろな出会いがあったのですが、「あ、やっぱりこれだ」と思った一点は、ピサロの冬の情景を描いた作品でした。

 

ピサロはわたしは印象派では特に好きな画家で(モネもルノワールも好きなんだけど、なぜかピサロがいちばんかというくらい好き)、だからなのか、なんなのかよくわからないんだけど。

今回ピサロの作品は6点あって、ピサロならではの点描画の作品とか、面白い作品も他にもあったにも関わらず、なぜか選んだのは「モンフーコーの冬の池、雪の効果」でした。

 

「今日のとっておきの1枚」は、いつも言葉で、理屈で言い表せないところからやってくるのです。

自分でもなんでか理由は言えないんだけど、どうにもこうにも「これ」なのです。

この絵の前では、ずいぶんと長い時間立ち止まり、引き返し、また見に行くを繰り返しました。

 

 

結び

というわけで、けっこう疲れている状態で、行って途中棄権しそうな危うさもあったにも関わらず、けっこう堪能してしまいました。

すごーく、満喫できました。帰ってからめちゃくちゃ疲れたけど。

 

今後の吉野石膏コレクションの予定

兵庫県立美術館では7月21日(日)まで開催されています。

その後、8月6日(火)から10月6日(日)まで山形美術館へ里帰りされ、

10月30日(水)から2020年1月20日(日) まで、東京の三菱一号館美術館 へ出張されます。

 

 

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