人生を主体的に生きる『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン

 

タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉を聞くようになって、モヤモヤとしつつ自分でも時間とどう向き合うか、いつも悩んでいました。

本書は時間の向き合い方に有益な示唆を与えてくれます。

 

感想

今回も主に3つのテーマを取り上げてみます。

  1. 本当にやりたいことをやろう。それ以外は「しない」ことを選ぶ
  2. 一見無駄に思える余暇や人にこそ時間を使う
  3. 誰もあなたのことを気にしない。やりたいことをやろう。

 

いまひとつサブタイトルに締まりがありませんが、気にせずいきましょう。

 

本当にやりたいことをやろう。それ以外は「しない」ことを選ぶ

簡単にいうと

・限界を受け入れる(やろうと思っていることを全てこなすことはできない)

・だから本当にやりたいことをやろう

・それ以外は「しない」ことを選ぶ

 

こんな感じでしょうか。

 

限界を受け入れるというのは、つまり「何もかもはできない」と認めることだ。
自分がやりたいことも、他人に頼まれたことも、すべてをやっている時間はない。絶対にない。
だから、それを認めて生きる。そうすれば、少なくとも無駄に自分を責めなくてすむ。

(P43 第1章 なぜ、いつも時間に追われるのか)

 

いきなりガツンと痛いところを突かれました。

そうなんです。「あれもやろう、これもやろう」と思っていても、結局できない。

最悪な場合、「やろう、やろう」と思いながら現実逃避(主にスマホ)をして1日が終わってしまう。

 

その割に「わたしはなんでできないんだろう」って責めていた昔の自分を思い出します(笑

 

大事なのは、意識的に選択することだ。何に集中し、何をやらないか。どうせ全部はできないのだから、少なくとも自分で決めたほうがいい。

(P43 第1章 なぜ、いつも時間に追われるのか)

 

「何をするか」を自分で選ぶことが大事。

 

「このタスクを終わらせたら、いつかこの忙しいのが落ち着いたら、そのときにやっと本当に大事なことができる」

それは幻想だと著者は言います。

 

やること(To Do)リストをこなせばこなすほど、また次のリストが大量に出てくる。

 

すべてを効率的にこなそうとするのではなく、すべてをこなそうという誘惑に打ち勝つことが必要だったのだ。
反射的にタスクをこなすかわりに、すべてをやりきれないという不安を抱えること。やりたい誘惑を振りきり、あえて「やらない」と決めること。(中略)その不快感に耐えながら、本当に重要なことに集中するのだ。

(P63 第2章 効率化ツールが逆効果になる理由)

人はいつだって、何かを選び、他の多くのものを捨てて、喪失感に耐えなくてはならない。

(P70 第2章 効率化ツールが逆効果になる理由)

 

うう。耳が痛い。

大事だと思うものをいろいろ持ちすぎて、なかなか手放せない(結果、やることが増えてキャパオーバーになる・爆)自分に刺さりました。

 

大事なことを選ぶということは、それ以外を捨てる喪失感に耐えることでもある。

 

一つひとつの決断は、目移りするほど素敵な可能性のメニューから何かを選べるチャンスなのだ。(中略)
メニューから何かひとつしか選べないことは、けっして敗北なんかじゃない。決められた時間のなかで「あれ」ではなく「これ」をする、という前向きなコミットメントだ。自分にとって大事なことを、主体的に選びとる行為だ。
(中略)
本当はなかったかもしれない貴重な時間の過ごし方を、自分自身で選びとった結果なのだから。

(P86〜87 第3章 「時間がある」という前提を疑う)

 

本当にやりたいことがあるのなら(創作活動でも、恋愛でも、社会活動でも)、確実にそれをやり遂げるための唯一の方法は、今すぐに、それを実行することだ。

(P92 第4章 可能性を狭めると、自由になれる)

 

やること(自分にとって本当に大事なこと)を決めて、実行する。

シンプルだけどむずかしい。でも大切なこと。

 

難しいタスクを落ち着いてやり遂げるには、完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認めたほうがいい。苦痛や退屈を否定せず、今起こっていることをそのまま見つめたほうがいい。

(P132 第6章 本当の敵は自分の内側にいる)

 

これは「テスト前になると部屋の片付けをしたくなる」症候群への対処法ともいえます。

 

大事なことって、大事だとは思うけど取り掛かるのに面倒なミッションだったりもします。

 

完璧を目指さず、まず取り掛かること。取り掛かるのに億劫な自分も見つめること。

さりげなくマインドフルネスの考え方が散りばめられています。

 

一見無駄に思える余暇や人にこそ時間を使う

1つめと矛盾するようでありながらそうではないこと。

余暇や人と過ごす時間など、一見無駄に思える時間にこそ「限られた時間を使う」価値がある。

 

人生は有限であり、だから必然的に、二度とない体験に満ちている。(中略)そして僕たちはたいてい「これが最後」と気づかないまま、その時を過ごしてしまう。

(P156 第8章 人生には「今」しか存在しない)

 

著者は子育ての体験から上記に触れていますが(子どもと過ごす時間って、その時にしか体験できない唯一無二のもの)人生のありとあらゆる場面で言えることでもあります。

 

特に、人と人との関係、誰かと一緒に過ごす時間は、実はかけがえのないものであります。

 

もうひとつ。余暇時間をどう過ごすか。

現代に生きる僕たちは、休みを「有意義に使う」とか「無駄にする」という奇妙な考えにすっかり染まっている。

(中略)

でも本当は、余暇を「無駄に」過ごすことこそ、余暇を無駄にしないための唯一の方法ではないだろうか。
何の役にも立たないことに時間を使い、その体験を純粋に楽しむこと。将来に備えて自分を高めるのではなく、何もしないで休むこと。

(P173 第9章 失われた余暇を取り戻す)

 

「実用性」とか「有効性」とかから遠く離れたことに没入できる(何もしないことも含めて)時間が、余暇の醍醐味というのでしょうか。

 

だから著者は、趣味も自分の生活や仕事に役に立たない、一見無駄な時間を過ごすことを賞賛しています。

 

誰もあなたのことを気にしない。やりたいことをやろう。

ここまできて「じゃあ自分の本当にやりたいことってなんだろう」とむずかしく考えてしまったそこのあなた!

そんなに小難しく考えることはありません。

 

本当の話、あなたが人生で何をするかは、そんなに重要なことじゃない。
あなたが限られた時間をどう使おうと、宇宙はまったく、これっぽっちも気にしていないのだ。

(P240 第13章 ちっぽけな自分を受け入れる)

世界はすでに壊れている。そしてあなたの人生も同じだ。望んでいた完璧さや安心なんて、最初からどこにもなかったのだ。

(P270 エピローグ)

 

だから、あなたのやりたいと思うことをやればいい。

 

たとえ経験や自信がなくても、やるのを諦める理由はどこにもない。
どうせいつまでたっても手探りで、確信のないままやるしかないのだから、尻込みしていても仕方ない。待つのは終わりだ。今すぐに、やりたいことをやりはじめよう。知識や技術が足りなくたってかまわない。
どうせ誰だって、あなたと同じようなものなのだから。

(P 261 第14章 暗闇のなかで一歩を踏み出す)

かけがえのない成果を手に入れるには、たっぷりと時間をかけることが必要なのだ。

(P215 第11章 留まることで見えてくるもの)

 

本当に大事なことは、世界を救うことでも会社で業績を上げることでもないかもしれません。

もっと些細でもいいし、自分には無理だろうと思うことでも「とりあえずやってみる」でもいい。

 

自分が大事だと思うことに、臆せずに時間を使うこと。

 

限られた時間を、自分で有意義にしていくことに勇気を与えてくれます。

 

まとめ

※自分のことを書いているので、興味がない人は読み飛ばしましょう

 

わたしは昔よりは時間の使い方がマシになったと思います。

 

昔はもっと「あれもこれもしなくちゃ」と思いながら、(もちろん)できずに「わたしはなんでこんなにできないんだろう」と毎日嘆いていました。

 

今は休みの日にあれもこれもできなくても「まあ、いいか」と思えるようになってだいぶ楽になりました。

 

でもやっぱりモヤモヤとしていることはあって。

・できていないけど、やりたいことが先延ばしになっている

・同時に、「何もしない」時間も自分は必要としている

 

わたしは基本的にはのんびりゆっくりペースが性に合っているのだけれど、でも一方でやりたいと思っていることができないのにもフラストレーションを感じる。

 

そして、人とのつながりもとても大切にしたいと思っている。

 

本書は、わたしがこれまで大切にしたいと思っていたことを見直す道標となりました。

 

わたしの手に余ることはしない。

やりたいことに注力する。待たない。

「自分なんて…」と思わない。そんなの誰も気にしない!(笑

 

ちなみに、ずっと昔に読んで、今も大事な人生の師でもある本「スローライフで行こう」と、とても共通するものがありました。エッセンスが似ています。

 

わたしの人生はわたしが決める。

 

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