内向型のあなたへ勇気を与えてくれる『静かな人の戦略書』ジル・チャン

 
 

読みながら何度もうんうんと頷きました。

文化やお国柄の違いはありますが、内向型の人に勇気を与えてくれる本です。

 

はじめに:自分への気づきが戦略になる

著者は台湾出身でアメリカで学び国際的にご活躍されているバリバリ優秀な方ですが

そんな華やかな経歴からは想像もつかないほど(2年間で行ったスピーチは200回以上!)

本書を読んでいると、内向型の人だというのがわかります。

 

例えばスピーチの前にめちゃくちゃ緊張されていたり

華やかなパーティーの場所が苦手だったり

疲れた1日の終わりは、にぎやかなクラブではなく部屋でのんびりひとりで過ごしたかったり。

 

一見すると何事もそつなくこなしておられるようなのに

外から見える姿と内から表現されることは、ここまで違うものなのか。

 

「私が心底揺さぶられたのは、ようやく気づいたからだ——私はべつに、ほかの人たちより劣っているわけじゃない。ただ、ちがうだけなのだ、と」

(P35 INTRODUCTION 鎧を脱いで身軽になる)

 

序文のこの言葉は、著者がスーザン・ケイン著の『内向型人間のすごい力』(講談社+α文庫)を読んでの言葉です。

 

 

著者も当初は、世の中の人が感じが良いと思うであろう外向型の特徴の鎧(ここでの鎧は「活発」「ほがらか」「楽しい」「ポジティブ」「元気いっぱい」などのこと)を一所懸命に身にまとっていました。

 

「私が自分のために起こした最大かつ最良の変化は、そのことにちゃんと気づいて、自分らしく、内向的な性格のまま生きていこうと決めたことだ。
どうか信じてほしい。静かで穏やかな人として、ありのままの自分になれば、あなたのキャリアはきっと変わる。私だって、そうだったのだから」

(P53 CHAPTER1 「はったり」はいらない)

 

著者は、「内向型だからこれは無理」と決めつけるのではなく、内向型は内向型の特徴・強みを活かして戦略を立てることを推奨しています。

 

言葉を変えれば「自分を知ること」、その上で「戦略を立てること

そして「ほんの少し勇気を出して踏み出していくこと」。

 

もちろん著者のように国際的に活躍できるには、知性や能力、運も必要です。

誰でも著者のようにできるわけではありません。

 

でも、「内向型だから人前で明るく快活に振る舞えない。だから自分には無理なんだ」と諦めずに

 

「自分はここは苦手だから、こういうやり方でやってみよう」とか

「全体を眺めてコツコツとこれをやるのは得意だから、そっちをやってみよう」とか

「スケジューリングはこうしよう」とか

 

自分に合った工夫をすることや、自分への気づきから強みを発想の転換として持つことは、今から誰でも試すことができるのではないかなと思いました。

タイトルに「戦略書」とあるように、内向型の人が自分の強みを活かすためにどう戦略を立てれば良いか、著者なりのこれまでの工夫も織り交ぜていろいろと紹介されています。

 

感想:「自分らしく」あること

本書は、たぶん自己啓発書、ビジネス書に分類されるのではないかと思います。

だから、箇所によってはわたしには参考にならないところもありました。

お国柄や文化の違いは当然ありますし、仕事の違いもあるでしょう。

それでも、そういう考え方があるんだ」という発想の転換はポロポロと発見の連続でした。

 

※今回の感想は、自分のことをいつもより多めに混じえて書いています。ご了承ください。

 


 

 

以前デンマークの心理療法家イルセ・サンの書かれたこちらの本を読みました。

(本書でもイルセの本は引用されています。HSP(Highly Sensitive Person)の多くは内向型と言われているので、本書は内向型HSPさんにとっても重なるところがあります)

 

この本「敏感な人や内向的な人がラクに生きるヒント」の感想はこちら。

 

わたしも、超がつくほどの内向型です。

小さい頃から知らない人と過ごすのはものすごく苦手。

公園でわーっと誰かと一緒に活発に遊びまわるより、部屋で静かにひとりで遊んでいるほうが好きでした。

(ひとりで遊んでいても、ぬいぐるみや人形が想像の世界で喋るので全然寂しくないのです)

 

その傾向は、ずっと続いていて。(さすがにぬいぐるみは喋らなくなりましたが)

 

今でも、初対面の人は緊張するし、打ち解けるのも時間がかかる。

大人数でわいわいする場は苦手。少人数、できれば1対1でお話しできるほうが好き。

自分からどんどん積極的に動くのもやっぱり苦手。

その場で瞬時に即興で対応するよりも、じっくり考えてアウトプットするほうが得意。

そして、ひとりになる時間はいまも大切。

 

だから、大人になって内向型のことを知ったときは、ほんとうに青天の霹靂でした。

ずっと外向型の人こそが世の中で認められる正しい在り方で、それができない自分はずっとダメだと思っていましたから。

いまはそれは違うと知りました。

 

それはどちらが良い悪いではなくて、単にその人のタイプによるものだと知りました。

外向型の国、アメリカでも実際は半々くらいなのだそうです。

綺麗に外向内向と二分されるわけではないことも付け加えておきましょう。

 

だから本書で「発想の転換」のようなものをたくさんいただけて

むしろ静かな内向型さんは、その持ち味を活かしていけば良いのだと改めて教えてもらいました。

 

「外向型」と「内向型」どちらであるが重要ではなくて

 

自分はどういうところが得意で、どういうところは苦手なんだろう?

どこを活かすと良いのだろう? 逆に苦手なところは無理しすぎないこと

自分のことをよく観察して、戦略を立てること

そして、勇気を出して一歩踏み出すこと。

 

そう。この本で得られたいちばんの収穫は「勇気」でした。

 

人前で明るく快活に振る舞えなくても、後ろめたく思わなくていい。

内向型でも、勇気を出して一歩を踏み出して良いのだと教えてもらったように思います。

 

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