冬の京都 臨済宗 東福寺【前編】本坊庭園

1月の寒いさなか、京都の東福寺へ庭園を見に行ってきました。

今回は庭園についての記事です。

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※この記事の情報は2019年1月のものになります。

東福寺の庭

 

当初は“東福寺方丈「八相の庭」という名称だったそうですが、2014年に“国指定名勝”に登録され、現在は「国指定名勝 東福寺本坊庭園」と呼ばれているそうです。

重森三玲(しげもりみれい)という有名な作庭家によって昭和14年に完成された庭です。

 

方丈(禅宗寺院の僧侶の住居のこと)の東西南北の四方に庭が配置されています。

大方丈を中心にぐるりと一周できるようになっています。

もっと広いかな? と思いましたが、一周するだけなら5分もかからないです。

 

東庭

 

まず入って渡り廊下の右手に東庭があります。

円柱の石で北斗七星が構成されているため、「北斗の庭」とも呼ばれているそうです。

うーん、入って早々美しい。

 

南庭

 

廊下の左手側、方丈の南側にある、いちばん広く大きな庭がこの南庭。

やっぱりこの庭園の花形はこちらかと思われます。

枯山水がほんとうに美しく、テレビや雑誌で見たことはあったけれど、砂でこんなに綺麗に線が曲がらずに描けるのがすごい。

 

 

どのアングルで撮っても面白いです。

無造作に置かれているのではなくて、石もひとつひとつ意味を持って存在しています。

基本的にオフシーズンなので人は少ないのですが、この南庭はやはり人がたくさん集まります。

 

西庭

 

「井田の庭」と呼ばれる庭です。

サツキと葛石によって市松模様が表現されています。

わたしが行った時は冬だったので、サツキの花の季節に行くとまた違った景色が見られます。

ちょっと冬は寂しい感じがしますね。

 

北庭

 

ウマスギゴケと敷石によるこちらは小市松模様の庭です。

彫刻家のイサム・ノグチはこの庭を「モンドリアン風の新しい角度の庭」と評したとのこと。

 

北側で日当たりは良くないのですが、すぐそばを広大な紅葉が覆っていて、こちらはこちらで落ち着いて見応えがありました。

別アングル。左側ほど敷石が多く、右に行くほど苔の割合が多くなっています。

こちらも奥にはサツキが植えてあるので、サツキの季節はまた違った景色が眺めそうです。

 

冬で寒い季節なので、苔もちょっと茶色いですが、それでも綺麗。

個人的に、こちらの庭がとても気に入ってしまいました。

苔のもこもこした感じと不規則に見える模様がたまらない。

 

通天台

 

西庭と北庭の間に、通天台という紅葉を展望できる場所があります。

 

 

通天台からは通天橋が見えます。

訪れた冬は紅葉が散ってしまった後なので、紅葉の枝がこれでもかというくらい見えます。

秋はこれが一面紅葉になるのですね。確かに圧巻。

春〜夏の青紅葉も綺麗だろうなあ。

 

冬の季節は、閑散期でガラガラで、人が映らないで写真が撮れます(笑)

わたしは冬の、葉っぱを落として春に向けて準備をしている樹木も、それはそれで好きです。

 

庭園についての感想

 

今回の目的は「庭園について自分のなかの考察を深めていく」ことでした。

自分がどういう立ち位置で庭園に興味があるのか」を探ることが目的でした。

 

というわけで、日本庭園初級者の素人が、勝手に感じたことをつらつら書きます。

 

第一印象として、実は思っていたよりは枯山水(南庭)に感動しなかったのです。これには自分もびっくりでした。もっと感動するかなと思っていた。

 

なんというか、美しすぎて計算され尽くされている感じが、ちょっと苦手みたいです。

 

もちろん普通の日本庭園だって計算されてつくられているんだけれど、もうちょっと不確定要素が欲しい感じ。

また、これは完全に主観なんだけれど、砂の白だけでなく、植物の混じる緑色のある景色がやはり自分は落ち着くのだなあと思いました。

 

今回冬に訪れたので、景色の誘因は確かにあります。

正直苔とか大丈夫かなと心配していました。茶色かったらどうしようとか(笑)

 

もちろん春〜秋の暖かい時期に比べると、寒さにじっと堪えている感じはあるけれど、冬の庭でも苔はがんばって育っていて、北庭は逆に思った以上に気に入りました。(これは良い意味の予想外)

 

 

西庭のサツキや、北庭の苔は、つくられた当時よりも育っていて、当初想定されていた景色と異なってきているとホームページにも書かれていました。

 

そういう意味で、植物は計算されながらも不確定要素を含んでいる

そういうところがわたしはやっぱり好きみたいです。

 

 

でも、じゃあ枯山水はそんなに気に入らなかったかというと、そうでもなく。

今回、冬で空いていたので、南庭は庭の前の登り口の階段みたいなところ(なんて名前なんだろう)に座って鑑賞することができました。

 

 

これが、高さの違いと、じっくり腰を下ろした時の違いで、グッと来ました。

 

立って鑑賞していたときよりも、近づいて腰を下ろすと、庭がいろんな意味で距離感がぐっと近くなります。おそらく物理的距離以上に、心理的距離が近くなります。

 

そうすると、庭がまさしく体感できるのです。

 

こころがスーッとなにか引いていくように不思議な心地になりました。

ああ、庭ってただ見るだけでなく、鑑賞するもの、体感するものなんだなあ」と感じました。

 

 

寒かったし、空いているなりに次から次に人はやってくるので、長く座っていたわけではないのですが、時間が許すのなら1時間くらいはじっくり座っておきたい気持ちになりました。

 

 

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