前に一度読んだことがあったんだけど、久しぶりに読んでみました。
デンマークではおなじみである「ヒュッゲ」について書かれた本です。
「ヒュッゲ」って何?
デンマークの言葉である「ヒュッゲ」
これについて説明するのには、センスがいると著者は書いています。
「人との温かいつながりをつくる方法」「心の安らぎ」「不安がないこと」もヒュッゲですし、「お気に入りのものに囲まれて過ごす幸せ」「心地よい一体感」もヒュッゲ、そして私のお気に入り、「キャンドルのあかりのそばでココアを飲む」こともヒュッゲ。
どれもこれもヒュッゲなのです。
ヒュッゲは、何か存在する「もの」ではなく、その場の空気や経験をあらわします。
(P2 INTRODUCTION ヒュッゲ--心がふんわり温かくなる方法)
デンマークはヨーロッパでいちばん幸福度の高い国です。
それには、この「ヒュッゲ」が大きく関わっています。ヒュッゲは「ものの豊かさ」ではなく、「こころの豊かさ」を体現する概念です。
背景には、高い税金のもとで成り立っている福祉国家であるというのも大事な事実です。税金が高い代わりに、国民の生活が保証されているのです。
さらにいうと、1年のうち半分が雨で、高緯度地域のため10月から3月まで日が昇らない、でも他の北欧諸国に比べると、冬に雪が積もるわけでもない。
つまり、気候的には決して快適とは言えないお国柄のなかで、「どうやったら心地良くなれるかな」をとことん追求していったのがヒュッゲなんだろうなと思いました。
そういう発想って良いですね。
例えば、日本でも、暑い夏に風鈴などで音の涼しさを感じるのも、似ているかもしれません。(昨今の酷暑には、風鈴の音も負けてしまいそうな暑さですが……)
でも、それだけじゃなくて、「ひとりでも居心地良い」はもちろんヒュッゲだし、「大切な誰かと一緒に過ごす時間」もヒュッゲになるのが、ヒュッゲのヒュッゲたる所以だと思います。
ヒュッゲルール10カ条
P43に挙げられている、『「シンプルな幸せ」をつくる「ヒュッゲルール10カ条」』を引用してみましょう。ヒュッゲがイメージしやすくなります。
- 雰囲気 部屋の明るさは、ほのかに
- 「今」「ここ」 携帯の電源を切って、「今ここ」に集中しましょう
- お楽しみ コーヒー、チョコレート、クッキー、ケーキ、キャンディー、大好き!
- 公平・平等 「私(Me)」より「私たち(We)」。時間と家事はシェアして
- 感謝 「ありがとう」と言って受け取りましょう
- 調和 勝負や成功をひけらかすのは、かっこ悪い
- 気楽さ ひと休みして、リラックス
- 平和 波風立てるのはやめましょう。政治の話はまた今度
- 一体感 相手との間にどんな物語がありますか
- 安らぎ 穏やかで不安のない場所を大切に
自分にとって居心地が良いことはもちろん、相手にとっても居心地の良い場となることを、ヒュッゲは大切にしています。
言い換えると、自分を尊重して、でも相手も尊重するという印象。
なんか日本の和を尊ぶのは、どこか「自分も我慢するから、相手も我慢して」という感じを受けることがあります。なんでだろう。わたしの偏見かな。
もっと肩の力を抜いて、楽しく過ごそうよという感じを、ヒュッゲ10カ条からは感じます。
それはこんなところからも。
ヒュッゲな瞬間はたいてい、「いつもどおり」であることが土台となって生み出されるようです。
あなたがホスト役の場合、お客さんと共にヒュッゲを楽しむには、まずあなたがリラックスしなくてはいけません。ふだん着のまま、ありのあまで良いのです。
(P140 いつものままで)
ヒュッゲは内向きな人にもぴったり。
ヒュッゲは内向きな人(内向的な人)にもぴったりなのです。
内向きな人は、お互いをよく知っている人と有意義な会話を楽しむことを、何よりも大切にしています。温かい飲み物を飲みながら、ひとり静かに本を読むのも好きです。これは、かなりヒュッゲ度の高い過ごし方ですね。
(中略)
内向きな人は、数人の友だちとくつろいだ夜を過ごすのが好きで、集まる人数も少ないほうを好みます。そういう人々にとってヒュッゲは、「人とのかかわりを持ちたい」という欲求と、「くつろぎたい」という欲求を同時にかなえる選択肢になります。
(P63 ヒュッゲなら内向きな人でも大丈夫!)
ちょっと長い引用となりました。
これは、読んでいて「うん、そうそう」と大きく頷くところでもありました。
というのも、わたしは気のおけない人とのお食事会は、とても好きだからです。
「飲み会」という言葉を使うと、ちょっと語弊があるかもしれません。
わたしはどんちゃん騒ぎをする飲み会は好きではないし、できるだけ避けたい。お酒も飲まないし。
わたしが求めているのは、「宴会」というよりは、数人の人との「くつろげる語らいの場」です。
わたしはお酒を飲まないけど、飲みたい人は飲んでも良いのです。でも、そこの中心は、あくまでおいしい食事と、ホッとできる語らい。会話を楽しみたいのです。
フレンチのレストランは食事は美味しいけど、ちょっと肩が凝る。
居酒屋さんは、肩は張らなくて良いけど、ちょっと騒々しい(時にちょっとどころではなく騒々しい)。
そこまで肩肘張らずに、騒々しくない場所で、くつろぎながらおいしいごはんと会話が楽しめること。
うーん、それってまさしく「ヒュッゲ」だなあと思いました。
また、自分がどういうことを求めているかもちょっとわかりました。
結び
文化差もあるし、完全にピタリと重なるわけではないけれど、ヒュッゲの考え方ってとても素敵だなあと思います。
ときどき忘れたころに、読み返したくなる本です。
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