先日、産経新聞でHSCについて取り上げられていました。
「ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)」。感受性が豊かで、他人の気持ちによく気がつく一方、周囲の刺激に敏感で傷つき…
Yahoo!のコメントを見ていると、「うちの子もそうだ」とか「自分も」とか「子どもの友だちが」とかいう意見もあって、5人に1人というのはやっぱり少なくない少数派なんだなあと思いました。(この記事に関心のある人しかコメントしないというのもありますが)
でも、一方でこころないコメントもあります。こればっかりは、しょうがないです。
ちょっとそれに派生して、考えたことがあります。カミングアウトの問題です。
※あくまで一個人の考え方としてご参考にしてください。ここに書いてあることは、ひとまず現在の考え方です。
HSPってカミングアウトしている?
自分がHSP気質だということを、周囲にカミングアウトしていますか?
結論から言うと、わたしはノーです。
親しい友人にも家族にも、ほぼしていません。
自分がHSPだっていちばん公言しているのはこのブログです。
名前をもらうことの功罪
わたしはHSPのことを知れて良かったなあと思っています。
わたしがなんか生きづらいのは、わたしの努力不足じゃなくて単に気質の問題なんだとわかって、それで生きづらさがなくなったわけじゃないけど、それでもだいぶマシにはなりました。
これは、名前をもらえて良かったこと。
でも、一方で、名前を使うことのデメリットもあるのです。
もし「わたしはHSPというものらしいよ」と説明するとき「HSPって何?」というところから始まります。
HSPも、少しずつ広まってきていますが、まだまだ知らない人もたくさんいますし、誤解されていることもあります。
HSPって病気じゃないし。病院で診断されるものじゃないからね。あくまで気質だからね。
そういうことを一から順に説明するのは、結構手間がかかります。
説明する側も、聞く側も。
しかもHSPってひとくちに言っても、色々です。
それぞれの個性は違うし、困り感も生き方も性格も程度もバラバラです。
HSP同士だからといって完全にわかりあえるわけでもない。
例えば、わたしはカフェインには鈍いけど、そういうのに耐えられないHSPの人だっています。
感情には敏感なほうだと思うけど、鈍感なところもあります。あとで「ちゃんと気付けてなかった」と反省することもあります。
HSPだから全部拾えるわけではありません。
これはHSPに限った話ではないけれど、自分が傷ついたり緊張状態にあったりすると、そこを生き抜くのに必死になるので、自分のなかと外のセンサーを繋ぐチャンネルは鈍くなります。
また、名前をつけることで、変な誤解を与えることもあります。
そして、これは個人的にいちばん辛いのですが、HSPだと説明しても「わかってもらない」ことは、往々にして起こりやすい。
がんばって説明しても、「だから何?」とか「面倒くさいなあ」と相手に思われた場合、敏感なHSPはそれも察知することが多い。
余計な傷つき体験が増えてしまう。
もちろんHSPを知ってもらって、敏感な人への理解が深まり、お互いに過ごしやすくなることは大いに賛成です。
名前を使うことには、メリットもデメリットも両方あるのです。
というわけで、わたしは現在のところ、外で自分から積極的にHSPを話題にすることはありません。
カミングアウトはしていないけど
HSPを知ってから、意識するように変化したことはあります。
HSPの名前は使わないけれど、自分の特性を周囲に説明することです。
うちは現在母とふたり暮らしなので、母には結構まめに言うようになりました。
ほとんどHSPのことを人に話したことはないと書きましたが、HSPを初めて知ったとき、興奮して母には話したことがあります。案の定、わたしの感動は見事に伝わりませんでした。
おかげでHSPという言葉は彼女のなかで定着していませんが(USJとUFJの違いがいまだにわからないほど横文字に弱い)、わたしの性質はだいぶ理解してもらえるようになったし、自分と違うのだということもわかってもらえるようになりました。
例えば
「疲れたから部屋でひとりで休むね」
「スーパーのなかを一緒に歩くのはしんどいから車で待っている」
「お店のなかでいろんな音が入ってきてクラクラした。気持ち悪い」
「(家族が家に集まっている時に散々家族の世話をした後)もうこれ以上は無理。わたしには部屋に引き上げるからあとはよろしく(と母に頼む)」
「ものすごく色々考えてしまってしんどい」「あなたはすごく考えるのね」「そうなの、そういうもんだから仕方がないの」
とか。
友人でもごくごく親しい人には、少し説明するようになりました。
毎回全ての人に全てのことを理解してもらうのは不可能ですが
(時々「この人は何を言っているんだろう」という顔をされることもあります……HSPの疲れやすさはバリバリと働いている人にはほんとうに伝わらないのです……)
それでも「ああミノリはわたしと違うんだね」ということをわかってくれる人もいます。
結び
カミングアウトには、いろんな考え方があると思います。
これはわたしの考え方だし、いま現在はこうだけど、将来は変わる可能性だってあります。
ブログでHSPのことを出すかどうかも、ずいぶん悩みました。
もしHSP気質の人が、HSPのことを知って、無用に自分のことを責めて辛い思いをしていることが減ったらいいなとか
それはあなたの努力が足りないのではない、単に気質の問題だよ、とか
ちょっとでも伝わることがあればいいなと思って、出すことにしました。
当事者の声はやっぱりリアルだし、それでいてブログは匿名性があるから。
わたしも普段出せないHSPあるあるを出せる場所になるし(笑)
そういう意味で、わたしはブログという場所でカミングアウトできたから、現実世界でそれほどしなくても良いのかもしれません。