蒼穹のファフナー THE BEYOND 第10〜12話考察(ネタバレあり)

アイキャッチ画像は来場者特典のミニ色紙。大好きな3人が集まって幸せです……(3回観に行ったらしい)

 

蒼穹のファフナーTHE BEYONDも無事に終わったので、考察してみたいと思います。

▽以前書いた、ざっと箇条書きの感想はこちら。

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今回は、マリスと、一騎について。ファフナーのなかの文化・価値観の視点から。

マリス:一騎=4:1くらいの割合です。わたし個人はマリスより一騎のほうが好きなんですけれども(それは聞いてない)

 

※「蒼穹のファフナー THE BEYOND」最終話までのネタバレを含みます。

※考察は個人の私見です。ご了承ください。

 

マリスについて

マリス・エクセルシア。 「THE BEYOND」からの登場人物。

美羽やエメリーと同じエスペラントのひとりです。

 

BEYOND第一話を見たときに「マリスって誰??」と頭にいっぱいはてなマークが浮かびました。

BEYONDの大騒動を引き起こした張本人です。

この人がいなかったらマレスペロもここまでのことはできなかったかも? というくらいのことをしでかしちゃった人。

 

マリスの目的

本編を通してその目的は不明でした。

「世界を捨てて平和に生きる」とか、そんなよくわからないもののためにマレスペロと手を組んだのか。

 

ざっくりと出ている海神島で語られる彼。

・両親は亡くなっている。

・エスペラントとしての能力は高い。

・美羽と仲が良かった。

断片的な情報で、正直よくわかりません。

 

ところがところが。

第11話で、まさかの事実が発覚。

 

ぶっちゃけますよ。(ネタバレ注意!)

 

マリスは美羽ちゃんが好きだったんだよ。

だからアルタイルと同化する美羽の未来を見て、それを阻止したかったんだよ。

美羽を失う(アルタイルに捧げる)くらいなら、人類全部を敵に回してもマレスペロにアルタイルをあげちゃったほうが良かったんだよ。

 

ななななんと、ここに来ていきなり超甘酸っぱい胸キュンなお話だったことが判明。

 

総士が「早く言え!」と叱責していますが、ほんとう早く言ってほしかった。(いや、話が成り立たなくなるよ)

 

ファフナーを取り巻く価値観

べノン側は敵という見方でずっと来たので、ここに来てファフナーを取り巻く価値観を改めて突きつけられた感覚です。

 

というのも、マリス以外で美羽がアルタイルと同化する未来を疑っていた人が、アルヴィス側にはどうもほぼ見受けられないから。

 

いやいや、それおかしいでしょう」と異議を唱えて同意してくれる人が、当時マリスのそばには誰もいなかった。

 

壮行会前の、操と美羽の会話。

竜宮島でアルタイルとの邂逅目前にした、美羽を含め、剣司、一騎の反応。

 

ああ。この人たち、みんなそれが「当然のこと」と思っているんだ。

 

そしてそれは無理からぬことでもあります。

 

美羽が、母やエメリーがアショーカと同化して消えていくのを目の当たりにしたように。

(弓子さんもエメリーもアショーカの力によって命を長らえていたので、単純な同化ではないけれど)

 

竜宮島の人たちが、たくさんの人たちの犠牲で自分たちを生きながらえてきたように

一騎たちも、自分たちの仲間をたくさん失ってきたように。

自分たちが乗っているファフナーが、そもそも同化現象を促進するように。

 

彼らはあまりにもたくさんの“犠牲“の上に成り立っている。

だからいつか、自分が犠牲になることも厭わないところがある。

 

もちろん大前提として「自分たちが生き残ること」を優先させてはいるけれど、一方で死にゆくこと(同化すること)に対して「逝ってしまった人たちのところへ自分も行くだけ」「自分たちもまた、次の世代の礎になる」という感覚が無意識に刷り込まれている気がします。

 

竜宮島の子どもたちが一定の年齢になるまでアルヴィスの存在を知らされずに「島の平和」を享受すること。

改めてそのことの意味を考えさせられました。

 

自然受胎で生まれ、人類最高のエスペラントとも謳われる美羽ちゃんは、そういう“一定の年齢まで島の平和を享受する“特権が与えられませんでした。

 

そうなのです。

そういう文化(犠牲の上で自分たちが成り立っている)を当たり前にさらされると、それ以外の選択肢が浮かびにくくなっちゃう。

 

小さい頃からフェストゥムやアルヴィスのことを知っていると、平和な世界なら当たり前のことをするのが後ろめたくなってしまう。(例えば「アイドルになりたい」とかね)

 

無印での、ずっと早くに島の中枢・島の外のことまで知っていた総士(旧←…)と、なにも知らなかったので温度差を感じていた一騎との温度差も、当然のことといえば当然です。

 

実はマリスは最大の功労者だったのかも?

マリスのしでかしたことは、決して褒められたものではないのだけれど。

千鶴さんを含め、今回もたくさんの人が犠牲になったのです。

交渉に現れたときのマリスへの海神島の人たちの反応が、それを物語っています。

 

しかし、マリスが動かなければ、この未来はやって来なかったでしょう。

ある意味で、誰も想像していなかった空白の未来を呼び寄せたトリガーは彼でした。

 

だから、マリスのしたことは許されることではないかもしれないけれど、結果的に悪くなかったのかもしれません。

 

美羽がアルタイルと同化せずに世界中に分け与えたことで、美羽だけでなくまさかのマレスペロまで救うエンディングになりました。

これはアルタイルと同化していたら生まれなかった結末であると思います。

 

というわけで、ある意味ではファフナーでもかなり非凡なマリスさんの功績を見ていきましょう。

 

その1:マレスペロと結託した。

プロメテウス改めマレスペロは人類を憎んでいました。

利害が一致したとはいえ、エスペラントとはいえ、あのマレスペロと同化されずに結託したのはすごいことだと思います。

 

しかも、竜宮島と繋がる総士が島のありかを導くために、擬似竜宮島をつくって、セレノアやレガート、フロロと一緒に「擬似家族ごっこ」「擬似竜宮島ごっこ」をするのを許されています。

 

たぶん(いや絶対)これはマレスペロにはなかった発想。

マレスペロならさらってきた総士を同化して「はい、おしまい」とかなりそうですよ。

 

それじゃあ竜宮島(アルタイル)の居場所はわからない」と説き伏せる必要があります。

 

また、海神島から連れてきた子どもたちと、眠りについている里奈さんをコネクトし、アショーカにバレずに海神島とコンタクトする方法も得ています。

これもマレスペロ単独ではおそらくできなかったこと。

 

ここまでのことをしてのけたマリスは、単純にエスペラントとしてだけでなく、優秀だなと思います。

 

その2:総士を偽竜宮島で育てたこと

結果的に、マリスが幼い総士をさらって偽竜宮島で「擬似竜宮島ごっこ」をすることが、かつての竜宮島の子どもたちと同じように総士が「平和を体験する」ことに繋がりました。

総士の成長速度とか、変なおまじないが混じっていることとか、突っ込むところもありますが(笑

 

これは、海神島でそのまま育てられていたら得られなかった体験をしたとも言えます。

もちろん海神島でも、竜宮島の文化を引き継いで子どもたちは“平和の文化を享受する“体験はできたと思います。

 

これは微妙な分岐点ではありますが、一騎が総士を取り戻しに来てフロロを消して総士の“怒り“を誘発させたことを含めて、「アルヴィスの価値観が絶対的に正しい」ことへ疑問を挟む余地を与えたことは結果的に良かったんだろうなと。

 

また、べノンの変なおまじないや「島の外は危険だから行ってはいけない」という禁止はありましたが、総士の育て方自体には悪い影響を及ぼさなかったのも、マリスがいたからだと思います。

子ども総士がちゃんと育つように、セレノアたちにも「家族ごっこ」の意味を教えなければなりません。

 

第1話でのマリス、めっちゃ良い奴ですよね。

たぶんこの回りくどいことをしていたのは、総士に竜宮島の場所を導かせる目的もあるけれど、美羽ちゃんに「平和な島の文化」を聞いていたのもあるんじゃないかな。

この「擬似竜宮島ごっこ」は、総士だけでなく、セレノアたちだけでなく、マリスにも何か影響を与えていたんじゃないかなあと思います。

 

総士がフロロ(擬似乙姫)を失ったことをずっと許せなかったのは、その関わり自体は擬似的なものでも、生まれてくる感情は偽物ではなかったからです。

皮肉にも、マリスがマレスペロと結託することで、旧総士が体験できなかった「普通の家族」を新総士は体験することができました。両親が日野夫妻なので微妙に違うんだけれども。それでも。

 

(旧総士の置かれていた境遇も大変でしたよね。母は妹を妊娠した状態で亡くなり、妹は島のミールに飲み込まれてコアになり、父は父で島を守って最期を遂げる。島に捧げた一家といっても過言ではない。コアにならなくても、アルヴィスにはそういう話は腐るほどあると思います)

 

物心つく前に一騎に育てられて、物心ついてからは擬似竜宮島に育てられて(この年数がちょっと早すぎるけど、ファフナーだからそこは置いておいて)、新総士は、以前の総士とは似ているようでどこか違う価値観を持っています。

この総士がいなければ、美羽を全力で止める総士は生まれなかったのだから、なんとも不思議な感じです。

 

その3:フェストゥムとわかりあう

マリスの根っこの願望は「美羽をアルタイルと同化させない」でしたが

結果的にセレノアさんやレガートさんから、存外の信頼を勝ち得ます。

 

これは、当初の目的の副産物。

 

マレスペロミールから生まれたフェストゥムである彼らが、マリスを通して「感情」を教わり、感情を通して自分たちの「意思」を持ちはじめたのです。

 

これは、フェストゥムの進化といっても良い。

操も、BEYONDを通して、自分でも制御できない感情を学びましたよね。

 

人間がフェストゥムを通して学んだことがあるように、フェストゥムも人間を通して変化を起こしている。

これは、ある意味で相互作用です。

 

総士が止めたことで、美羽がアルタイルとの対話の方法を変えたように。

自分だけでは考えもしなかった地点へ着地することが、相互作用の面白いところ。

 

たぶんマリスは、そこまでセレノアたちのことを大事には思っていなかったんじゃないかな。

だから、レガートさんから庇われて、とても戸惑った表情をしていました。

でも、そこから変わっていくものもあるんだろうなと思います。

 

人類を敵に回して居場所を失ったマリスが、フェストゥムである彼らと新たな居場所をつくる。

最終的にはミツヒロケイオスも含めてほんとうに「擬似家族」みたいな関係になって、あれはあれで良かったんじゃないかなあと思いました。

そのうち人類軍とかから漂流した人たちの受け皿になってあげそうですよね。

 

 

一騎について

最後に少し、一騎について。

 

この10~12話で、一騎は何度か「そのときが来たら命を返すよ」とか「俺を同化しろ、総士」とか言っています。(台詞はうろ覚えなので悪しからず)

人の命の循環を外れてしまった一騎は、どこか厭世観が漂っています。隠居したおじいさん的です。

 

ある意味で、アルヴィスの価値観が強く根ざしてしまったとも言えます。

無印のころの島を飛び出した一騎が懐かしいな。何も知らないって、大事なことだったんだ。知ってしまうと、知る前には戻れない。

 

EXODUSで、境界を渡ってしまった総士(旧)に「俺も」と言うけど一緒に連れていってもらえなかった一騎は、半分魂が死んでしまった状態と言いますか。

どこか「同化されたい願望」を持っておられます。

 

EXODUSで、悩みに悩んで七夕の短冊に「生きたい」とこっそり書いた彼が望んだのは、たぶんこういう生ではなかったんだろうな。

 

ファンとしては、EXODUSでプロメテウスに同化されなかったこと、総士と行ってしまわなかったこと、その世界に居てくれるだけでただただ嬉しいんだけど。

 

でも、例えば真矢と一緒に島に残る選択肢が取れない。

真矢もできる限りそばに寄り添っているけれど(あの二人のあいだにだけに流れる微妙な空気感が好き。新総士には一生たどり着けない場所(笑))、史彦さんも真矢もBEYONDを見ていると「どうしても越えられない壁」が一騎とのあいだにはあるんだなあと感じます。

 

これは甲陽にも言えるんですが。

甲陽の場合、「大切な人」の居る場所が一騎とは違うので、立ち位置が少し違うなあと思います。

(あ、いま書いてて気づいたけど、一騎もいずれ甲陽と似たポジションに行くのかもしれない)

 

 

そんななかで、総士がビンビンに生のベクトルを出しているのは、物語の未来への躍進でもあり。

「同化されたい」願望のある一騎を突き放したのは、残酷でもあり、美羽を手放さなかった総士だからできたことでもあるなあと思いました。

 

やり方は違うけれど総士が美羽と一騎にしたことは、本質的には同じことです。

「あなたはただ一人のかけがえのないあなただから、その命を粗末にするな」とでも言いますか。

 

それはそのまま、いまの総士自身の在り方(旧総士と新総士は違う存在)にも当てはまることなんだろうなと思います。

 

 

結び

好きなアニメはいろいろあるのですが、ファフナーはなんだか自分のなかで特別な場所にあるなあと思います。

というわけで感想に続き考察まで長く長く書いてしまいました。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。

 

 

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