『精神科医が見つけた3つの幸福』樺沢紫苑

ブログでもよく紹介させていただている樺沢紫苑先生の本です。(2021年出版の本)

 

精神科医は幸福論をどう扱うのか??

樺沢先生の本のこれまでの内容に重なるところもありますが、「幸福」というキーワードにビビッとアンテナが触れたことを簡単にまとめたいと思います。

 

結論:幸せの三段重理論

一般の人にもわかりやすく書いてあって、分厚いけど読みやすいです。

本書のタイトルにもあるように「3つの幸福」。

 

簡単にいうと、以下の3つです。

  1. セロトニン的幸福:心と体の健康
  2. オキシトシン的幸福:つながり・愛
  3. ドーパミン的幸福:成功・お金

 

よく言われるのは、「幸福にはお金や社会的成功が不可欠だ」(令和の時代は、その価値観自体が揺らいできていますが、まあそこはまた別の話)

でも、お金や成功(ドーパミン的幸福)は、優先順位からいうと3番目だと著者は言います。

 

いちばんは、まずは自分の心と体が健やかであること(セロトニン的幸福)

次に、家族や恋人、友人、人と人とのつながり(オキシトシン的幸福)

最後に、お金や成功、仕事ややりがい(ドーパミン的幸福)

 

それをわかりやすく説明したのが「幸せの三段重理論

(本書P32の図をもとに作成)

 

わたしはあまり「幸福になりたい」と思ったことはないんだけど(生きづらさがマシになればいいなあと思ったことは何度もある・笑)

改めて考えると、これらがごちゃまぜになって考えていたなあと気づきました。

 

こういうふうに図に表して整頓されると、何から順に優先して考えていけばいいか、すっきりと整理されました。

 

本書の肝は、この「幸せの三段重理論」で、じゃあ具体的に「セロトニン的幸福ってなんなの?」「オキシトシン的幸福を上げるにはどうしたらいいの?」等について、詳しく解説されています。

その項目は、樺沢先生のこれまでの本にも重なるところがあるので、割愛。

 

感想

個人的に気になって付箋を貼ったところから、今回も3つピックアップして取り上げてみます。

「ここが大事」とかではなく個人的に気になった箇所ですが、ちょうど本書の「3つの幸福」それぞれからピックアップできました。

気になる人は、本書を読んでみてくださいね。

 

セロトニン幸福:セロトニンは痛みにも関係する

『セロトニンは「痛み」のコントロールとも関係しています。セロトニンが高ければ「痛み」は抑えられ、セロトニンが低ければ「痛み」を感じやすくなる。

(中略)

セロトニンが下がると、「腰が痛い」「膝が痛い」「頭が痛い」など、「あちこちが痛い」と訴えます。「痛み、つらさへの我慢が弱くなる」のです』

(P46 第2章 「3つの幸福」のイメージを固める)

 

痛みは主観的なもので測ることがむずかしいのは知っていました。

でも、そこにセロトニンが関わることがあるとは考えてなかった。

 

セロトニンが上がると「痛みがなくなって、万事解決!」とまではいかないだろうけど、いろんな要素が関わっているんだなあと知れたという話。

 

オキシトシン的幸福:自己開示

『心理学で「自己開示の返報性の法則」というのがあります。

自分が自己開示すると、相手も自己開示をしてくれる。そうした自己開示をキャッチボールのように繰り返していくことで、信頼関係が深まっていく、という法則です。

ただし、この法則には前提があって、どちらかが先に「心の扉」を開かないと、お互いの自己開示が進みません。自己開示は相手の心の扉の開き具合に応じて進んでいくからです。

(P226 第5章 オキシトシン的幸福を手に入れる7つの方法)

 

なんとなく身に覚えがあることでした。

わたしは人との距離感が慎重なタイプで、「この人は(わたしにとって)大丈夫な人かな?」と様子を見ながらつきあっていく。

だから初対面ではなかなか打ち解けない。でもわたしの場合、時間をかけて育んでいくと、ずっと長く付き合える。

(ちなみに「よし、この人は大丈夫だ!」と思うと、自分から積極的に関わるようになります。この垣根が結構遠くて大変……)

 

そのとき、相手のこと(相手は自分に心を開いてくれるか、信頼してもいいか)ばかり考えていたけど、自分のほうからも心を開いて接していくこと。

ちょっと勇気を出して、こっちからも自己開示していきたいなと思いました。

 

ドーパミン的幸福:制限すること

セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福は持続しやすい。

一方、ドーパミン的幸福は逓減しやすい。だから「もっともっと」が強くなる。

麻薬のような怖さがあるのが、ドーパミンの特徴です。

 

では、ドーパミン的幸福を細く、長く楽しむには?

そのひとつが「制限する」です。

 

『ドーパミン的幸福を劣化させずに、細く、長く楽しむにはどうしたらいいのか? 答えは「制限する」です。

(中略)

「制限する」ことで、「楽しい」を感じとる能力が復活し、幸福度、満足度がアップしたのです。

(中略)

スマホ、ゲーム、お酒など、ドーパミン的な娯楽は、「制限」しながら楽しむことで、幸福度の逓減を防ぎ、依存症化することを防ぎながら、長く楽しむことができるのです。』

(P258〜259 第6章 ドーパミン的幸福を手に入れる7つの方法)

 

簡単にいうと、「何事もほどほどがちょうど良い」ということでしょうか。

お酒も、毎日好きなだけ飲むんじゃなくて、制限することで体の負担も減らし、楽しみが長く続けられるようになる。

スマホもゲームも、ほどほどならOK。

そのほどほどがどれくらいかは、人によりけりですが……

 

余談。

わたしは、パズルゲームが好きで、たまにゲームアプリをインストールするんですが

この「制限する」が全然コントロールできません。

 

「1日30分〜1時間」と制限していても(アプリの時間制限を入れていても)

「ついつい」オーバーして、長時間やってしまいます。

 

結局、ゲームはアンインストールして、現在はゲームアプリを物理的になくしました。

たまにやりたくなって再インストールするんだけど(データはIDを保存して残している・笑)、やっぱりコントロールできない。

 

しかも、コントロールできないときって、ちょっとこころに隙間があって元気がないときに起きやすい。(依存しやすい心身の状況下で起きやすい。しかも不調なので悪循環になる)

 

何度か繰り返して、「ゲームをしたいときは、ちょっと危険信号だな」と認識するようになりました。

 

「制限して楽しむ」ができる人は、それでやればいいと思います。

でも「制限して楽しむ」ができない人は、物理的にその楽しみから遠ざかったほうが良いのかもしれません。

 

結び(+おまけ)

今回取り上げたこと以外にも、わかりやすく実践できること、参考にできることがいろいろ盛りだくさんに書いてありました。

身体の健康だけでなく、心の健康のためにも、予防的な意味合いで参考になるのではないかと思います。

 

2023年11月末にこの本の図解版(漫画でさらにわかりやすく解説された本)が出版されました。

「お手軽に知りたい」という方、「分厚い本はとっつきにくいな」という方にはこちらの本もおすすめですよ。

 

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