あべのハルカス美術館で開催されている「ポーラ美術館コレクション展」へ行ってきました。
7月9日から9月5日までの開催です。
ポーラ美術館
2002年9月に「箱根の自然と美術の共生」のコンセプトのもとに、富士箱根伊豆国立公園内の豊かな自然に恵まれた箱根・仙石原にオープンしました。
モネやルノワールなどの印象派から、セザンヌ、ゴッホ、ピカソなど、レオナール・フジタなど有名な作品が西洋・日本絵画・彫刻から工芸品まで約1万点も収蔵されています。
2013年7月には「森の遊歩道」もオープンし、国立公園内の自然を散策することができます。
森を散策しながら、屋外に設置された野外彫刻も楽しめるのは、ポーラ美術館ならでは。
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以前、大原美術館へ行ったときに「私立美術館も良いな」と思いました。
ポーラ美術館をなんで知ったのか忘れてしまったのですが、前から行きたいなあと思っていた美術館です。
わたしの住んでいるところから箱根は遠いので、「いつか行こう」が「コロナがおさまってから行こう」になり、次第に「コロナが落ち着いたら絶対行くリスト」に脳内登録されました。
美術館好きで自分の好きな画家の作品がいっぱいある&木が好きで周辺を散策できるのダブルパンチで、わたしにとっては夢のような場所です。いや、個人的にネズミの夢の国よりこっちのほうがわたしにとっては夢の国。
そんなポーラ美術館が、あべのハルカス美術館までわざわざ出張してくださるとあれば、これは予習を兼ねて行かないわけにはいきません。
感想
まず目に飛び込んでくるのがモネの「睡蓮」
今回は1907年の作品が展示されていました。
モネ6点、ルノワール8点とここだけで14点!
同じ画家の作品でも、いろいろな作風の絵を一度に見られる機会ってそうそうなかったので新鮮でした。
ポスターにも使われているルノワールの「レースの帽子の少女」は、カメラ撮影OK、SNSに載せてOKでしたが、以前クリムトでも同じことがされていて、そのとき個人的に作品を味わうことが著しく減退してしまった苦い経験があるのでやりませんでした。
わたしは絵画は肉眼で味わいたい人です。写真におさめてそのあと肉眼でも味わったらいいんだろうけど、まだそこまで器用にできません。これも慣れなのかなあ。
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今回の展覧会は印象派からエコール・ド・パリまでフランスの近代絵画の流れがわかりやすく展示されていました。
2年前に兵庫県立美術館でやっていた「吉野石膏コレクション展」も、似たようなテーマでした。
何度か流れを反復すると、覚えるのが苦手なわたしでも少しずつ覚えてきます。(何度も反復しないと覚えられない人です)
例えば、今回もヴラマンクさんの絵に出会って「やっぱりこの人の絵は個性的だなあ」とか
「シャガールの絵は夢の世界を描いているような感覚でなんだか好きだなあ」とか
以前見たときの印象が上書きされていく感じ。楽しかったです。
20代の頃は、「美術館で絵を見るのが好き」という漠然としたものでしたが、いろんな絵を見ることで次第に自分の絵の嗜好がわかってきて「どちらかというと印象派が好き」とか「この画家の作品は好き」とか「この画家は有名だけどわたしは苦手」とかがわかってきました。
美術史は苦手なんだけど、すこーしずつその流れも何度も反復して以前よりわかるようになってきた。
そうすると、さらに楽しめるようになってきた。
ここ数年、美術館に行く回数が増えてきていますが、”好き”がさらにアップデートされていっています。
ポーラ美術館にますます行きたくなってきました。
今日の一枚:「エヌリー街道の眺め」カミーユ・ピサロ
毎回美術展へ行くと、「その日のお気に入りの一枚」を選ぶようにしています。それは、理屈ではなくどうしようもなく自分が惹きつけられた一点です。
わたし好みの絵もいろいろあったのですが、やっぱり選ぶとなると自分の好きな画家さんになってしまう。
モネやルノワールも好きなんだけど、今回はシャガールにもだいぶ惹かれたんだけど、選んだのはまたしてもピサロでした。
よっぽどわたしはピサロと波長が合うらしいです。
ピサロは3点展示されていました。
今回選んだ作品は点描画ではなかったのですが、展覧会では他の画家の点描画も何点か展示されていました。
わたしが初めて「ピサロ好きだなあ」と思ったのも点描画だった。(昔すぎて作品名やどこの美術館だったかは覚えてない)
点描画も、画家によって個性が違っていて、単に点描画だから好きというものでもなくて、点描画もピサロのがいちばん好きでした。うまく言えないんですけど、見ていていちばん落ち着くんですね。しっくりくるというか。ほんとう個人の感覚的なもので、色彩とか構図とか技術的なことは全然わからないんだけど。
ポーラ美術館にはピサロの作品が3点収蔵されていて、つまり今回は3点ともハルカス美術館まで出張してくださったそうです。ありがたや。
わたしが選んだ作品は、1879年の作品。
ポントワーズから隣村エヌリーに続く道の風景を描いています。
遠景にエヌリーまでの道が見えていて、前面に草原、その奥に森が広がっています。ぐわんと曲線になったラインと木々や人(おじさん草刈りでもされているんでしょうか……)の配置、色彩がなんともいえず調和されていて素敵です。
派手さはないんだけど、どこか風の揺らぎや木々のせせらぎが聞こえてきそうで、落ち着いたなかにも躍動感が感じられます。
今回は絵はがきも販売されていたので、ゲットしてきました。いつもお気に入りの一枚が必ずしも販売されているとは限らないので(展示会的にはマイナーな作品を選ぶこともしばしば……)、今回は嬉しかったです。
▷▷ ピサロの「エヌリー街道の眺め」は、ポーラ美術館の公式サイトで確認できます。
結び
先月「グランマ・モーゼス展」へ行ってきたところだったので、こんなに間隔をあけずに行くのはめずらしく大丈夫かな? と心配だったのですが(←あんまりいろんなことをいっぺんに処理できない性格なので)、行ってきて良かったです。
フランス近代絵画に関心のある方は、その時代がぎゅっと凝縮されて展示されているのでオススメですよ。
わたしはますますポーラ美術館へ行きたくなってきました。行けるとしたら早くて来年か再来年ごろかなあと思います。
わたしの体力では、行ったら間違いなく感動で胸がいっぱいになってへとへとになるので、夜は温泉でのんびり癒やすまでセットです。想像しただけで夢が膨らみます。
関連情報
▽美術館情報
あべのハルカス16F、誰もが気軽に芸術・文化を体験し楽しめる「都市型美術館」です。…
▽この記事内で登場した過去の美術展の記事
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