ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 (SB文庫)
言わずと知れた(?)、HSPを提唱したエレイン・アーロン博士(自身もHSP)の著書の翻訳本です。
わたしがHSPを知ったのは長沼睦雄先生の本がきっかけです。ここでも何度も紹介させていただいています。その後に本書を読みました。
初めて読まれる人への注意点
個人的に、率直な感想。初読で読んだら、長いです。文庫本で約400ページ。
わたしは普段から割と本を読んでいるほうなのですが、初読はやっぱり冗長的で読むのが少ししんどかった。
HSPという概念について、色々な体験例を織り交ぜながら、わかりやすく噛み砕いて解説してくださっているのですが、普段読書の習慣のない人にはなかなか読むのがきついと思います。(これはアーロン博士のHSC(The Highly Sensitive Child=ちょっと敏感な子ども)の本を読んでいても思った)。
博士まで取っておられて、繊細ながらも優秀であるアーロン博士のお人柄が、本そのものににじみ出ているなと思います。一般の人にもわかりやすく、そしていろいろな要素を織り交ぜながら書かれているので、内容は濃いです。だから、読めば読むほど染み入ってきます。
しかし、やはりアメリカと日本の文化差はあるし、後半にいくほど一般の人には馴染みのないものがたくさん出てきます。特に第9章の「魂とスピリット」はスピリチュアリティについて掘り下げて書かれているので、人によっては拒否感を抱かれるかもしれません。日本に起こったスピリチュアリティブームとは一線を画します。
そういう意味で、HSPの本家大元の本ではあるけれども、初めてHSPについて触れる人には、長沼先生の本のほうをお勧めしたいなと思います。
でもやっぱり勧めたい点
「もっとHSPについて知りたいな」「アーロン博士本人の本も読んでみたい」と思ったときに、手に取られると、もっと深くHSPについて、またアーロン博士の考え方について触れることができて、とても良い体験になると思います。
ご本人もHSPであるアーロン博士の本は、本そのものがHSPらしさをよく表しています。
HSPについて、ポジティヴなことも書かれていますが、ネガティヴなことも(著者自身の体験も含めて)書かれています。想像以上に悲惨なことも。
でもHSPを知ることによって、「敏感すぎることは悪いことばかりではない」と発想を転換し、「敏感なわたしだからできることもある」と考えられるようになること。それを体現されているアーロン博士の温かく細やかな視点は、とっても励みになります。
わたしがアーロン博士から受け取ったこと
特にわたしがアーロン博士の著書に触れて感じたことは
HSPだからといって諦めずに、もっと挑戦していくこと
です。
基本的には敏感で非HSPの人に比べると生きづらさを抱えるHSPですが、それを知ることで、引っ込むんではなくて、あえて挑戦する気持ちも持つこと。
何も向こう見ずに挑戦しろというのではないのです。
知ることで、自分の良いところもやりづらいところも知りながら、
良いところはもっと活かせるように。
やりづらいところは無理せずがんばりすぎないように。
これはすごく励まされることだと思います。
それであなたは諦めなくて良いんだよ、と言ってもらえたようで。
(まあ、言ってしまうとごく当たり前のことで誰にでも当てはまることなのですが、アーロン博士も言うように、HSPは自分に厳しい人が多いので、人と同じようにできないことで自分を責める人も少なからずいます。だから特に大事だと思います)
分厚いし、内容も濃厚なので、何度も読み返してアーロン博士のエッセンスを受け取れると良いのかなと思います。
きっとその時々で、受け取れるメッセージはその人によって変わってくるでしょう。
わたしもまた、別の機会に別のエッセンスについて紹介したいと思います。
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