「わたし、定時で帰ります。」の次のクールでドラマ化される告知を見て、ドラマ化される前に取り上げておこうと思いました。
というのも、わたしは佐々木倫子さんの漫画のファンだからです。
「動物のお医者さん」という漫画がかつて大好きでした。佐々木倫子さんは天才だと思っています。
今回ドラマ化される「Heaven?」は、温泉に行ったときに旅館に漫画が置いてあって、たまたま読んだら面白くて、帰ってきてからAmazonさんで全巻揃えてしまいました。もう紙媒体で漫画を買うのはほとんどしていないけど、この作品はなんか時々読みたくなっちゃうので手元に置いています。
というわけで、ドラマ化ですが、今回は原作の漫画について熱く語りたいと思います。
「Heaven? 」ってどんな漫画?
ごくごくふつうのフレンチレストランに勤めていたごくごく平凡な主人公・伊賀観(かん)は、ひょんなことから「ロワン ディシー(フランス語で「この世の果て」という意味)」というフレンチレストランのオーナー(黒須仮名子)にスカウトされます。
しかし、そのフレンチレストランはどの最寄駅からも遠く、周囲は墓地に囲まれた、ものすごい立地。
しかも、同僚たちは一癖も二癖もありそうな変わり者揃い。(シェフ陣以外はフレンチの経験なし)
しかしそれを凌駕してオーナーがとんでもない人。
この舞台設定とキャラクター配置で、平凡なフレンチレストランになるわけもなく。
そしてごくごく平凡で良識ある青年伊賀くんが、巻き込まれるのは目に見えています。
というわけで、オーナーを中心に毎回すっ飛んだ話が展開されるのですが、それでいながらフレンチは天下一品だし(漫画でもすごく美味しそう)、専門用語も素人にもわかりやすく説明してくれるし、この辺の漫画の面白みと、ウィット具合と、下地の環境の精巧さが佐々木倫子さんのすごさだなあと思います。
ある意味動物のお医者さんに似ている
同じ作者の作品なので、傾向が似るのは致し方ないかもしれません。
つまり、比較的良識ある地味な青年(伊賀くん、ハムテル)が、常識のないすっ飛んだ人(オーナー、漆原教授)に振り回されるという構図です。
「Heaven?」の場合は、オーナーのぶっ飛ばし具合が半端ないので、ほかの従業員もそれなりに個性的なんだけど、オーナーにかかると霞んでしまいます。
作品の面白み
当然のように、毎回はっちゃかめっちゃかします。
オーナーは、超自己中心的で、自分のためにフレンチレストランを作っちゃったような人で、ほぼ毎日お店の料理とお酒を好き勝手に楽しんでいます。経営というより、自分の快楽優先。(その正体(本業)は…原作を、あるいはドラマを見てのお楽しみ)
98.5%くらい滅茶苦茶なんだけど、たまに1.5%くらい鋭く真理を突いてくることがあって(本人自覚なしに)、そこのギャップがまた面白い。
あと、これだけ突き抜けちゃう人だと、周囲も「ああいう人だからしゃーねーなー」になっちゃって、変に期待しないで自分たちがしっかりするようになる。
伊賀くんはいちばん割りを食っている人で、苦労をたくさん背負っているんだけど、なんというか「真面目な人だから損をする」というカテゴライズもなぜかされない。
むしろ「伊賀くんがいてくれないと本気で困る」レベルで頼られている。(オーナー以外も曲者ぞろいだから)
みんな得意不得意というか、でこぼこしているので、良い意味ででこぼこを補い合っていて、とんでもない店(と、オーナー)だとみんな内心思っているんだけど、どうにも辞められない。そこに留まっちゃう。
漫画なのもあるんだけど、そういう気の抜けた感じが、息抜きにちょうど良くて、疲れて気持ちが荒原のようになっている時に読むと、オアシスでちょっとひと休みしているような気楽さがあります。
「オーナーみたいな人だっているんだし、それでもなんとかなるんだからまあいっか」という気持ちになってくる。
しかも、めちゃくちゃ笑えるのに時々はっとするような学びもあります。この絶妙なさじ加減がなんとも言えない感じで癖になります。
ドラマについて
というわけで、ドラマ化されると聞いて、いちファンとしては嬉しいです。
が、結論から言いますと、わたしはドラマは見ません(ごめんなさい!)
大好きな漫画すぎて、ドラマを観たときの自分のイメージとのギャップに耐えられないと思うからです。
「動物のお医者さん」はドラマ版も見たんですけどね。今回は見送り。
こちらは、密かに二階堂役の要潤さんがツボでした。
関連情報
▽でも一応ドラマのリンクを貼っておきます。
オーナー役は石原さとみさん、伊賀くん役は福士蒼汰さんという豪華配役です!