【HSPの本】デンマーク人から見たHSP「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」イルセ・サン

今回紹介する本は、デンマークの心理療法士イルセ・サンのHSPについての翻訳本です。

イルセ・サンご本人もHSPです。


鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

はじめに:文化差について

これまで紹介してきたHSPの本は、エレイン・アーロン博士はアメリカ人、長沼睦雄先生は日本人です。

 


ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。 エレイン・アーロン

 

 


「敏感すぎる自分」を好きになれる本 長沼睦雄

 

HSP気質自体は、国境差はないですが、文化差による影響はどうしても生じます。

上記の2冊を読んでいても、アメリカと日本のお国柄の違いはやはり感じます。

 

ではデンマークは? と聞かれて、スラスラと出てくるほどわたしはデンマークのことを知っているわけではありません。

わたしが知っていることでいうと、例えば「ヒュッゲ」はデンマークの言葉です。

※ヒュッゲとは、デンマーク語で、「居心地のいい時間や空間」の意味。
詳しくは下記の本がオススメです。


ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方

▽この本の感想

とりねこブログ 

前に一度読んだことがあったんだけど、久しぶりに読んでみました。 デンマークではおなじみである「ヒュッゲ」について書かれた…

著者はエレインのHSPチェックリストを参考にしつつ、デンマークの視点から、実際に臨床に関わる人として、そしてご本人もHSPなので自身の体験も混じえて書かれています。

 

本書の目次

巻頭  HSPチェックリスト*
第1章 鈍感な世界に生きる「敏感な人」とは
第2章 「敏感な人」が抱えやすい心の問題
第3章 「鈍感な人たち」とうまく付きあうには
第4章 「敏感な自分」とうまく付きあうには
巻末  HSPのためのアイデアリスト

 

タイトルにもあるように、敏感な人(HSP)と鈍感な人(非HSP)が対比でよく出てきます。

 

翻訳本だから仕方ないのですが、非HSP=鈍感な人というのは、ちょっと言葉のあやが微妙かもしれません。

基本的にHSPはHighly Sensitive(とても敏感)なのであって、非HSPが鈍感なわけではありません。

 

でもいちいち「敏感すぎる人」とか「とても敏感な人」と表現するのも面倒なので、ここは本書の表現に従いましょう。

 

本書独自のデンマーク式HSPチェックリスト

なんといってもこの本の見どころのひとつは、著者が作成したHSPチェックリストがついていることです。

 

アーロン博士のHSPチェックリストは、簡便にHSPかどうかを測れる23の質問によって構成されています。

 

しかし、著者は実際に臨床場面でこのチェックリストを使ってみて、デンマーク人にはそぐわない点なども感じて、お国柄に合ったチェックリストを作成されたようです。

 

質問は全部で48。「当てはまらない」から「完全に当てはまる」まで、0〜4点の点数式です。

 

これは著者がデンマークで実際に臨床で会うクライエントさんに合うように改良をされたもので、ここにもお国柄の違いは出ています。

 

例えば「45 週末は、友人たちとコテージなどで過ごすのが好きで、途中、輪から抜けて1人になる時間は特に必要ない」は、ヒュッゲのあるデンマークならではの表現だなと思います。

 

でも、アーロン博士のチェックリストとまた違った観点からチェックできるので、試してみると参考になります。

 

※チェックリストは、参考として受け取ってください。
著者自身も、このチェックリストは完全ではなく、このテストはあくまで自分の敏感さを知るためのヒントであると注意書きしています。

 

本書のチェックテストは、マイナス52〜プラス140点までの範囲で点数が出ます。

目安として、値が60点以上なら、HSPである可能性が高く、数字が大きければ大きいほど敏感といえます。

 

ちなみにわたしは、ある日のチェックテストの結果は、114点でした。

 

 

本書の内容

すでに何度か読み返していますが、本書の特徴として思いつくことを挙げてみます。

対比として、アーロン博士のHSP本(以下エレイン本)と、長沼先生のHSP本(以下長沼本)を例に挙げさせていただきます。

 

文章量は長沼本≒本書<アーロン本

HSPの基本的な特徴については、本書でも詳しく論じられています。

構成はとてもシンプルで、読みやすいです。でも内容は濃密。

アーロン本は、内容盛りだくさんで、やっぱりボリューミーだなと思います。

 

 当事者の声をたくさん取り上げている。

アーロン博士のHSP本は、臨床例をよく取り上げていましたが、本書は臨床例そのものはさらっと、でも当事者の声(発言)をたくさん引用しています。

 

これが本書のいちばんの売りかもしれません。

 

実際に心理療法の場面で、当事者とよく出会う心理療法家の著者だからこそ拾える言葉で、当事者の言葉は実感がこもっていて重みがあります。

お国柄が違っても、その重みはちゃんと伝わってきます。

 

著者自身の体験も書かれていて、やっぱり具体例というのはわかりやすいです。

 

心理療法的な視点が多い

第2章の『「敏感な人」が抱えやすい心の問題』や第3章『「鈍感な人たち」とうまく付きあうには』など、実際にどんなところに困るか、そういう時にどうしていったらいいのかを丁寧に書いてくれていて、参考になります。

例えば、「コミュニケーション(会話と対話)」についてや「怒りとの向き合い方」など。

読んでいるだけでも、けっこうセラピューティックに使えます。

 

結び:わたしの本書の使い方

HSPのことを知ってから、HSP本は何冊か揃えました。

基本的にどれが正解というのはありません。その人その人に合った本を探し、参考にされれば良いと思います。

 

わたし自身は、普段は長沼HSP本を軸に置きながら、もっと深めていきたいときはアーロンHSP本、なんだか疲れてちょっと癒されたいときはこちらのイルセHSP本を手に取ります。

 

(お名前がイルセ・サンで、本当は名字でサンさんとかサン先生とかサン本というところなのでしょうが、なんだか日本人的にサンは馴染まない気がするので、親しみを込めてファーストネームで呼んでみる)

 

関連情報一覧

▽今回の記事で紹介した本

 

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