映画「コードギアス 復活のルルーシュ」感想

コードギアスが10年ぶりに新作ということで、一昨年から映画で三部作が公開。そして今年、ついに満を持して「コードギアス 復活のルルーシュ」が公開されました。

 

▽予告編

 

最近はほぼアニメは見なくなったのですが、コードギアスは大好きなアニメのひとつでした。

当時だったら映画化されても恥ずかしくて見に行けない隠れオタだったのですが、年の功というか今は(あんまり)気にせずに見に行っちゃいます

(最近の映画館って窓口通さなくてもチケット買えるから便利だよね。)

今年はファフナーも新作が出るから忙しいなあ。

 

というわけで、感動が冷めやらぬうちに書き留めておきます。

 

ちなみにいちばん好きなキャラは神楽耶様です。かないみかさん最高です。ナナリーに溺愛なルルーシュも好きです。基本的にルルーシュは好き。

「亡国のアキト」は未視聴です。本編オンリーのファンです。

ここでの「コードギアス」はテレビ版の「コードギアス 反逆のルルーシュ」「コードギアス 反逆のルルーシュR2」を下地に、映画版「コードギアス」三部作、今回の「コードギアス 復活のルルーシュ」についてです。

 

テレビ版コードギアスの物語の閉じ方が秀逸だった話。

コードギアスって、きれいに閉じる終わり方をした類まれなアニメです。

あまりに綺麗すぎて、放送当時はショックで茫然自失になりました。

 

いろんな意味で、ルルーシュは型破りな主人公でした。彼の言葉に「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というのがありますが、それをほんとうに有言実行してしまった主人公です。

 

一応最終回で、彼は死んだことになっていて(別の国のエンディング?ではC.C.の乗る馬車の馭者がルルーシュっぽいという描写もあるみたいなのですが、日本版ではその描写はなし)、憎しみは全部彼が引き受けて、世界は平和になりましたとさ、めでたしめでたしという流れになっています。

 

これを公式が新作を作る、しかもルルーシュありきでって。

あの綺麗な閉じ方をいじるんですよ。嬉しい反面複雑です。

 

 

閉じたのをまた開いて新作を作るとき、コードギアスならではのむずかしさ

だいたい世界が平和になってめでたしで終わる作品って、平和条約が反故にされたり、新興勢力が出現したり、反乱軍やレジスタンスが出現したり、内部分裂があったり、宇宙から侵略者がやって来たり、まあいくつかお決まりのパターンはあるのですが、コードギアスはだいたいこの辺の定石が使えないようになっています。

 

それくらい、ルルーシュは徹底的にやったからです。最も難関だったシュナイゼルさえ手中に収めちゃったんだから、それを上回る戦略家はまあ難しいし、世界の勢力縮図についても同様です。(コードギアスと戦略は切っても切れないので、単に強い敵が出現してやっつけるのでは面白みがない)

 

肝心の主人公は死んじゃっているし、対抗勢力を作るのも容易ではない。これでどうやって続編を作るのか。

ここでこの物語にしかない、鍵となる要素、”ギアス”がやっぱり鍵になります。

コードギアスはつくづくギアスに始まってギアスに終わるんだなあ。

 

映画「復活のルルーシュ」の感想

観終わったところでの正直な感想は「あと10回くらい観たい」でした。

いやー、やっぱりコードギアスは面白い! これはファンのための新作でした。ファンサービス満載で、細かいところは突っ込むところもありますが、よく2時間でこれだけ盛り込んだなと思います。

 

わたしは「亡国のアギト」は観ていないので、ルルーシュ版のみの立ち位置なのですが

つくづく、コードギアスはルルーシュありきなんだなあと思いました。

 

最終回後の世界を描くとしても、ルルーシュがいないとやっぱり面白くない。物語の核になる存在。いないと何か大事なものが抜け落ちてぼやけてしまう感覚。

 

「復活のルルーシュ」って、いかにしてルルーシュを復活させて彼が活躍できる場所を設定するか、に全力傾けられている作品だと思います。事前に作られた三部作は、これまでのおさらいと、そのための下地づくりだったんだろうなあ。

最初に書きましたが、これって超難題です。物語はきれいに閉じているし、ルルーシュが相手にして引けを取らない対抗勢力っていうのも続編という設定では超難しい

 

「復活のルルーシュ」に先駆けて作られた映画三部作で、ひとつ分岐点がつくられました。

シャーリー生存ルートです。

そして、皇道の最後の場面でC.C.がシャーリーとジェレミアの名前をぼやきながら何かを探しに行っていました。これはテレビ版ではなかった筋です。

つまり、テレビ版から分岐されてつくられたのが今回の映画版になります。大まかな流れは変えずに、でもifが付け加えられた。

 

 

そして、もうひとつの鍵が、”ギアス”です。

ルルーシュ生存ルートとして、テレビ版放送当時も囁かれていたのが、「ルルーシュはシャルルのコードを引き継がなかったのか」です。

コードを引き継いでいたら、不老不死になるようなので。

 

でも、コードありきで考えちゃうと、あのきれいな閉じ方が打算になっちゃうんですよね。

もちろんルルーシュが生存してひっそりとC.C.と生きるという筋書きも悪くありません。

この二人を好きな人は、歓迎するでしょう。

なんでよりによってあんな死に方をしないといけないんだというのは当然思います。

でも、そうすると、なんだか嘘っぽくもなっちゃいます。

 

スザクがどんな思いでルルーシュを刺したのか、どんな覚悟でゼロの名前を引き継ぐのか、ユフィの名を覆うほどの悪逆皇帝の所業の数々、そして、ナナリーの涙。

「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」も、「撃たれても生き返りますよ」だと、重みが一気になくなります。

コードを継いでたから実は死んでいません、になるととんだ茶番です。

 

だから放送当時はあれが最適解だったんじゃないかなと思います。

 

 

で、続編。新作がどういう流れで作られることになったのかわからないけど、一回閉じたものをまた開かなくてはいけなくなる。

シャーリー生存ルートという分岐点を作って、物語の大幅な筋は変えずにです。

 

まあ、予想はしていたけれど、シャルルのコードを引き継ぐパターンがやっぱり採用されていました。

ただ、C.C.が「ルルーシュは死ぬつもりだった。これはわたしの我が儘だ」と言っているので、ルルーシュは想定していない筋書きです。なので、一応整合性は保てている。

 

復活するところと、それを受けいれるとこらへんが超はしょられていますが(そこを細かく描きすぎると2時間に収まらなくなるのはわかるんだけど)、とりあえずスザクやコーネリアが憤ってくれたのでまあ良しとしよう。みんながみんな「ルル復活してくれて嬉しい。良かったねー」の反応だと、こいつらグルじゃないかと引きます。

ああ、いま気づいたけどちゃんと憤っている二人はユフィの親近者なんですよね。

シャーリーは生存したのにユフィはそうではない(物語のなかで、二人の立ち位置が全然違うからしょうがないんだけど)のは、人によっては面白くないと思います。

 

で、ルルーシュの活躍する舞台が、よくぞここまで設定したなあと思います。

傭兵の国で、ギアス教団の分派(ギアスが使える)、しかも情報や物資が遮断されているから制限付きのイレギュラー。復活しても、ルルーシュゼロが表舞台に立てないのは、筋を通していてます。でも、彼が絶対に動く理由になるナナリーが人質です。(最初に書きましたが、わたしはナナリー溺愛なシスコンルルーシュも大好きなのです!)そして、スザクも公式には死んでいるんだけど、今回はゼロを一次的に交代して新型ランスロットでまさかのカレンと共闘。

前作では敵味方入り乱れていたのが、勢力的にはひとつのまとまりでキャラは総出演、でもそれなりに強敵(傭兵+ギアス、しかも限られた空間でそれなりの軍事力)と戦う、戦略ありきで。

コードギアスのおいしいところをこれでもかというくらい盛り込みつつ、話は破綻していない。すごい、すごいです。

 

ギアスという鍵があってこそなんだけど、でも、よくここまで料理したなあと感嘆です。

で、つくづくこの物語はルルーシュの戦略が要で、でもそれだけじゃない、戦術ももちろん魅力で、うーん、やっぱりコードギアスはすごいアニメだなあと思いました。

 

「明日」の再定義

映画では新キャラシャムナが、「明日を手に入れるために」的なセリフを言っています。

 

これは、ルルーシュとシュナイゼルとの対決を思い出しますよね。

シャルルは昨日、シュナイゼルは今日、そしてルルーシュは明日を希求しました。

 

一見すると、シャムナはルルーシュと同じ”明日”を希求しているようですが、実は少し違います。

 

シャムナは、過去に遡って「やり直す」ギアスです。

 

経験したことを生かして、リセットしてやり直すのです。

それをシャムナは「経験の積み重ね」と呼びます。

過去に遡ると起こったことは未来に生じるので、”予知”になります。

 

そして、次は失敗しないようにと対策が得られるわけです。

 

すごいギアスです。ルルーシュの絶対遵守のギアスもそうだけど、つくづくギアスって理から外れている。

 

これでルルーシュ側は絶体絶命に陥るんだけど、そこは主人公よろしく、諦めません。

コーネリアが「我が弟は諦めが悪いからな」と言っていますが(コーネリア様つくづく格好いい)、あなたの弟さんは妹のことになると特に諦めが悪くなるんですよ。

 

ルルーシュが出した明日の再定義は「失敗を積み重ねていく」ことでした。

 

ルルーシュって何でもかんでも成功したわけじゃないんですよね。

時にはびっくりするくらいの失敗をしでかしてます。

 

彼のしでかした大失敗は、そりゃあもう、言わずもがな「ユーフィミアにギアスをかけてしまった」ことです。

で、この失敗は取り返せないんです。背負うことしかできない。

 

もちろんリセットしてやり直せたらいいなと思うことはあります。

でも、失敗は、そこから先へ繋いでいくしかない。明日は遡ってやり直すことではなく、失敗の地点から始まる。”なかったこと”にはできないのです。

 

結び

とりあえず、「復活のルルーシュ」は、長年のファンに応えた公式だからできる作品です。

ファンサービス満載で、それでいてストーリーも面白く、見応えは十分にあります。

 

きれいに閉じたものを、また開いて再構築することの是非はありますが、でも、ファンとしては、やっぱり続編が見られて嬉しい!というのが正直な感想です。

 

実は、叛道のみ未視聴なのです。(興道、皇道はちゃんと映画館まで観に行った)

ほんとうは観に行く予定だったのですが、運悪くその時期に風邪で寝込んでしまって機会を逃してしまいました。ちょうど去年のこの時期だ!

というわけで、シャーリー生存ルートについて、知ってはいるものの、あまり突っ込んで考察できませんでした。

DVDで改めて三部作をおさらいして、その辺もまたいつか考察してみたいと思います。

(後日追記)映画版3部作もおさらいしました。シャーリー生存ルートも考察しています。

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